自公維の「高校無償化」に慶応女子高の保護者が動揺? なぜだ?

【永田町番外地】#15
高校の授業料が公立・私立を問わず、来年4月の入学分から全国一律に無償化される。額にして年間45.7万円。低所得者層にとっては朗報であろう。だが、いま現在、子どもを私立に通わせている親や、私立受験をめざしている親の思いは複雑である。とりわけ、名門校と呼ばれ、ブランド力をウリにする女子校の保護者にとって私立無償化に不安、不満が渦巻く。
「保護者会でも話題になっていますが、失礼ながらいくら学力があっても、低所得層の家庭環境に育ったお子さまがクラスメートになる可能性があるわけですよね。親御さんも含めて教育環境や校風に馴染めるのかしら。親同士のお付き合いもありますしね」
とは、都内屈指の難易度とブランド力を誇る慶応女子高の保護者の声だ。
ちなみに慶応女子高の授業料は年間69万円、初年度の納付金は入学金、教育充実費など合計で124万3000円なり。これにプラスして難関校受験は塾通いが必須となるから、授業料の無償化くらいではあまり影響なし。
「確かに校風の乱れやブランド力の低下を懸念する保護者はいらっしゃいますね。ですが、そもそも難関校は学費以前に入りたくても入れない狭き門ですから、ご懸念無用かと」
ある大手進学塾のスタッフは私立無償化の影響をこう語るが、無償化で浮いた教育費が塾代に回ってくるせいか、余裕の表情だ。
■深刻なのは学習院、東洋英和、共立のお嬢さま校
「むしろ無償化による教育の質、ブランド力の低下、つまりは悪い意味の私立の公立化が懸念されるのは、男女を問わず、受験生のボリュームゾーンと重なる、偏差値でいえば50~60台前半の2番手、3番手校あたりでしょう。そこそこブランド力はあっても少子化で学生の獲得競争が熾烈ですから、学費は上げられず、入試レベルも落とさないと生き残れない」
その言を借りれば、さしずめ都内では学習院、東洋英和、共立、品川など、お嬢さま系女子校は“要注意”といったところか。
自公政権の2025年度予算案への賛成と引き換えに高校無償化を求めた日本維新の会。その目的を「すべての子どもが家庭の経済状況に左右されることなく、希望する教育を受けられること」だと胸を張る。しかし、しばらくは維新の“成果”なんかより、もっぱら「私学ブランドの低下」が大きな話題になりそうだ。 (特命記者X)