大阪・関西万博もう間に合わず? 工事未完を「逆転の発想」で楽しむ方法…識者が皮肉たっぷり提唱

開幕まで、4日で残り40日となる大阪・関西万博。本来なら本番に向けて盛り上がっていく時期だが、会場建設の遅れが機運醸成ムードをぶち壊している。
日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長は2月28日の定例会見で、参加47カ国が独自に建設する海外パビリオン(タイプA)のうち、外観が完成したのはわずか6カ国だと明かした。
工期が逼迫する中、会場では突貫工事が強行されている。2月から海外パビリオンなど一部工事が24時間体制となり、元請け業者などが「3月末には完成させろ」と下請けにハッパをかけているという。
■地元建設労組が声明で現場へのシワ寄せを危惧
こうした状況を全国建設労働組合総連合の関西地方協議会は懸念し、今月1日に現場労働者の命と健康の最優先を求める声明を発表した。突貫工事のシワ寄せが作業従事者に及ぶことを危惧した内容で「『いのち輝く』のテーマにふさわしく、法令順守を徹底し、労働者の命と健康と人権を最優先にした施工体制への支援と完成時期の柔軟な対応」を要請した。
土壇場の突貫工事について、建築エコノミストの森山高至氏は「24時間体制にしたのが遅すぎる」とこう話す。
「2~3月は新生活に向けた戸建てやマンションの仕上げ工事が殺到し、職人不足が予想されます。現場にシワ寄せが及ばないよう、遅くとも昨年末までに体制を整えておくべきでした」
しかも、夢洲会場はアクセスが悪く通勤も大変。加えて、キツイ夜間工事ともなれば、現場の士気低下は避けられない。賃金アップなど処遇改善も求められる。
もう開幕までに工事が間に合わなければ、延期もやむなしか。
■あの大屋根リングが役立つチャンス
「確かに、職人の命と健康を犠牲にするくらいなら、無理すべきではない。大屋根リングなどは完成しており、海外パビリオンは未完成のまま、完了済みのエリアだけで開幕してもいいのではないか。海外パビリオンは各国のこだわりがある建物なので、工事の過程を見るだけでも十分価値がある。建設中のパビリオンを上から見下ろすためにも、リングが役に立ちますよ」(森山高至氏)
「目玉不在」の万博に、ようやく「目玉」が加わるかもしれない。
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電子チケットの事前予約制が大原則を覆し、石破首相は大阪・関西万博での「当日券」導入方針を正式に表明。「万博の華」の海外パビリオンも一向に完成せず、すったもんだの状況に…。●関連記事『【もっと読む】大阪万博「歯抜け開幕」ますます現実味…海外パビリオン完成たった6カ国、当日券導入“助け舟”の皮肉』で詳報している。