ススキノ遺体、精神科医の父親に執行猶予付き有罪判決…殺人ほう助罪の成立否定

札幌市ススキノ地区のホテルで2023年、頭部を切断された男性(当時62歳)の遺体が見つかった事件を巡り、娘による殺人や死体損壊などの各ほう助罪に問われた精神科医・田村修被告(61)の裁判員裁判で、札幌地裁は12日、懲役1年4月、執行猶予4年(求刑・懲役10年)の判決を言い渡した。
渡辺史朗裁判長は「凶器を購入したのは被告だが、娘が殺人に及ぶことまで認識していたとは推認できない」などと指摘し、殺人ほう助罪の成立を否定した。
公判で検察側は、修被告の娘の瑠奈(るな)被告(31)(殺人罪などで起訴、精神鑑定中)が23年7月1日夜、ホテル客室で北海道恵庭市の男性を刺殺し、頭部を自宅に持ち帰った後も損壊を重ねたと主張。修被告が瑠奈被告の依頼で事前に凶器を購入したり、損壊の様子の動画を撮影したりし、娘に協力したと主張していた。
これに対して判決は、「検察官の立証では『修被告が娘から殺害計画を知らされていた』とまでは認定できない」と指摘。一方で「動画撮影は死体損壊のほう助に当たらない」とする弁護側の無罪主張も退けた。
弁護側は控訴を検討する。札幌地検の森田昌稔(まさとし)・次席検事は「上級庁と協議し、適切に対応したい」とコメントした。