島内で500~600羽のウサギが放し飼いにされ、観光地として人気を博す広島県竹原市の大久野島。そんな“癒しの島”で、ウサギを虐待したして、動物愛護法違反で起訴された25歳の男の初公判が、3月26日、広島地裁呉支部で開かれた。
あまりにも残忍で身勝手な犯行の詳細は、前編記事で伝えた。2被告は法廷で、動機について何を語ったのかライターの普通氏がレポートする。【前後編の後編。前編から読む】
「自分は異常だと思いました」
起訴状によると被告は、今年の1月9日と同21日に、大久野島に生息するうさぎ計7羽に対して、胸腹部を蹴る、足を掴んで骨を折る、頭部を踏みつけ、首を掴んで口腔内にハサミを入れるなどしてケガをさせ、1羽を死なせた。被告の調書によると、起訴事実以外にも毛を抜く、耳を引きちぎる、鼻の穴の間を切るなどの犯行を自供している。
検察官の冒頭陳述によると、被告は大学卒業後、会社員として勤めていた。社内異動を複数経験するなか、上司の指導を厳しく感じるなどした結果、適応障害と診断され、事件の4か月ほど前から休職中だった。事件後に依願退職しており、当時住んでいた会社寮を退去し、住居不定となっていた。
調書内容が読み上げられたあと、弁護人からの被告人質問で、当時の心境などが明らかにされた。
被告は捜査段階から全ての容疑を認めており、動機、犯行態様も検察官が立証した通りであると供述した。不安感からか少し震えるような声であったものの、受け答えもはっきりしており、事実に向き合っているように感じられた。
元々は小動物が好きだったこともあり、初めての大久野島への訪問時は虐待する考えなどなかったという。しかしその後、SNSでの関連動画として、うさぎが悲鳴を上げていたり、解体されたりする動画が表示されたことで視聴してしまう。
弁護人「その動画を見て自分でも虐待したい欲求になったのですか」 被告「初めは『かわいそう』という思いでした」
弁護人「そこから虐待したいと思うようになったのは」 被告「『かわいそう』と思う反面、『虐待してみたい』というよからぬ思いも」
弁護人「その『虐待してみたい』という思いを自分ではどう思っていましたか」 被告「自分は異常だと思いました」
しかし男は虐待に及んでしまう。最初の犯行時の心境について「多少の躊躇はあった」とも供述している。
弁護人「周囲の人に相談はできなかったのですか」 被告「この異常さを周囲に知られたくなく」