石破内閣は1日で発足から半年を迎えた。側近不在で首相官邸の意思決定の形をいまだ確立できておらず、調整力不足を露呈する政権運営も目立つ。内閣支持率は発足直後から20ポイント下落し、局面転換は急務だが、政策の打ち出しなどで打開を図れるかは見通せない。(山口真史、服部菜摘)
「多くの方々にお支えいただき、ご努力いただき、内閣を続けることができた」
石破首相は31日夕、首相官邸で記者団にこう述べ、半年間の政権運営は楽ではなかったとの思いをにじませた。石破内閣は発足直後こそ支持率は51%に上ったものの、直近では31%まで下落した。自民党内では「内閣への信頼感が下がったことが背景だ」(ベテラン)との声が出ている。
石破内閣では、霞が関の官僚組織ににらみを利かせ、与党の内情を把握した上で首相に意思決定の材料を提供する右腕が不在だ。岸田政権では元経済産業次官の嶋田隆首席首相秘書官と木原誠二官房副長官が、政策や政治的判断の両面で岸田文雄前首相を支えたが、首相が政策、政局双方で頼りにする側近は見当たらない。
「チーム石破」の不在は、場当たり的な意思決定にもつながっている。
患者負担を抑える「高額療養費制度」の見直しを巡っては、首相は一度実施を決めたが、結局は見送りを決断した。患者負担増は参院選に悪影響との与党の声を重視したためだが、当初から見送りを求める声はあり、「官邸は党の本音を把握できていない」(自民幹部)と不満が漏れる。
側近不在で首相が意思決定の前面に出る結果、調整不足の思いつきとも取れる言動も散見される。
内閣発足直後の10月には「(日銀は)追加の利上げをする環境にない」と発言し、株式市場を混乱させた。3月には公明党の斉藤代表との会談で、2025年度予算案の審議中にもかかわらず補正予算編成を示唆する「強力な物価高対策」に言及、謝罪に追い込まれた。
首相は2月のトランプ米大統領との首脳会談で、事前の入念な準備の結果、日米同盟の強化など安全保障面で一定の成果を上げたが、その後は自民党衆院議員への10万円分の商品券配布問題もあり、「貯金は完全に消し飛んだ」(政府高官)との受け止めが広がる。
首相周辺は「政策実現で潮目を変えたい」と語るが、内閣支持率が低迷し、少数与党で首相が政策遂行の主導権を握るのも難しい中、局面を打開できる政策の打ち出しが可能かは不透明だ。