2025年3月10日午前、山形県の複数企業に「ネットバンキングのログインIDの更新が必要」といった内容の自動音声電話がありました。
企業側が折り返し電話をかけると、ヘルプデスクを名乗る人物にウェブサイトに誘導されたといいます。IDとパスワードを入力させられ、ワンタイムパスワードを聞かれたので答えると、銀行口座からお金が盗み出されてしまいました。
聞き出した情報を元に、詐欺師がネットバンキングに不正アクセスし、自分の口座に送金したのです。これは、最近被害が急増しているボイスフィッシングと呼ばれる詐欺の手口です。現在は、山形銀行をはじめ、多くの銀行がこの手口について注意喚起を行っています。
ネットバンキングの不正送金被害は劇的に増加
ネットバンキング詐欺はネット詐欺の中でも1件当たりの被害金額が大きくなる傾向があります。
例えば、2025年1月には、兵庫県に住む50代男性が警察官を名乗る人物から「詐欺事件の犯人を逮捕したが、あなた名義のキャッシュカードが不正取引に使われていて、あなたに逮捕状が出ている。口座を凍結して口座内の資金を調査するので指定口座に送金するように」と電話を受けました。
その後、SNSアプリでビデオ通話を行い、相手が逮捕状や警察手帳を見せてきたため、信用してしまい、50万円を振り込んでしまいました。
ネットバンキングの不正送金被害は深刻な状況になっています。2023年の被害額は約87億3100万円と、過去最悪を記録しました。2018年の被害額は約4億6100万円だったので約19倍と劇的に増加しています。
2024年におけるネットバンキングの不正送金被害は発生件数が4369件、被害総額は約86億9000万円でした。これは前年とくらべて少し減ってはいるものの、依然として高水準のままです(警察庁「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威情勢等について」)。
ネットバンキング詐欺は、だましの手口のバリエーションが多いのが特徴です。ほかのネット詐欺と組み合わせて仕掛けられることも多く、デジタルリテラシーを身に付けていないと、タイミングによってはころっと引っかかってしまうのです。
ごっそりと預金を丸ごと盗まれてしまうことも
代表的な手口をいくつかご紹介します。何よりショッキングなのが、ネットバンキングを使っていないのに、ネットバンキング経由でごっそりと預金を丸ごと盗まれてしまう事例です。