社長が「野良犬」とパワハラ発言 自殺した女性社員の労災を認定

化粧品小売り「ディー・アップ」(東京)の女性社員(当時25歳)が自殺したのは、社長のパワーハラスメントが原因だとして、三田労働基準監督署が労災認定していたことが判明した。遺族側が3日に記者会見し、明らかにした。社長が女性に向けた「野良犬」などの発言がパワハラに当たると判断されたという。
代理人弁護士によると、亡くなったのは里実さん(名字は非公表)。2021年4月に入社し、社長から同年12月に呼び出され、日ごろの勤務態度などについて、約50分にわたって叱責された。「お前大人をなめるなよ」「世の中でいう野良犬っていうんだよ」と言われ、別の日にも「弱い犬の方がほえるわけよ」と人格を否定するような発言をされたという。
里実さんは22年1月にうつ病を発症して休職。自宅療養中の22年8月に自殺を図り、約1年後に亡くなった。三田労基署は24年5月、うつ病発症は社長の発言によるパワハラが原因とし、死亡との因果関係も認めたという。
里実さんの姉侑子さんは記者会見で、「里実は明るく、自分よりも他人を優先する性格だった。こんなことが二度とないように願いたい」と話した。
遺族は、ディー・アップ側に損害賠償を求める訴訟を起こしているが、会社側は「里実さんの勤務態度に問題があり、パワハラではない」と主張しているという。【安達恒太郎、安元久美子】