〈女子高生クローゼット遺体〉「お母さんが絶対に家に連れてこないでって」と言っていた内気な元スーパー勤務の男(21)はなぜ被害者を自宅に連れ込み「ゲームで口論になり何度も刺した」のか〈愛知・一宮〉

〈〈女子高生クローゼット遺体〉知り合ったきっかけはバトルロイヤルゲーム、逮捕された“陰キャ”無職男(21)は隠ぺい工作も「口論になって何回か刺した」〈愛知・一宮〉〉から続く
東京都葛飾区の女子高校生・加藤和華さん(16)の刺殺体が愛知県一宮市の住宅のクローゼットで見つかった事件で、この家に住む無職・江口真先容疑者(21)=死体遺棄容疑で逮捕、送検済み=が愛知県警の調べに「オンラインゲームのことで言い争いになり、自宅にあった包丁で何回も刺した」と供述していることがわかった。2人はバトルロイヤル(生き残り)方式のオンラインゲームを通じて知り合い、加藤さんが春休みを利用して江口容疑者の自宅まで訪れていたことがわかっており、県警は犯行の動機となったトラブルについてさらに調べを進めている。
〈画像〉チェックのシャツを着て…少年時代の江口容疑者と、クローゼットに遺体が放置されていた容疑者の自宅
父親は建築関係の仕事、4人きょうだい、あだ名は特にナシ
江口容疑者が両親と住む同住宅の住所は、2007年設立の解体工事を主とする会社の所在地として登記されていたが、同社は約5年前に解散していた。近所に住む女性はこう証言する。
「近所付き合いをするご家庭ではなかったので、詳しい事情までは知りませんが、お父さんは作業着姿で出かけていくこともありましたし、自宅に足場なども置いてあったので建築関係のお仕事かと思っていました。
お母さんは小柄な可愛いらしい感じの方です。お子さんも4人いて、笑い声なども漏れてきていたので平和なご家庭という印象を持っていました。容疑者については自転車でたまに出かけるのを見かけるくらいで、他はまったく何やっているのかわかりません。
容疑者が逮捕された日は、深夜に江口さんの自宅周辺にパトカーが停まっていました。私の家の前にもバンのような車両が何台も停まっていました。江口さんの飼っている豆柴も一日中吠えていたので、ずっと警察の方が周囲にいたのだと思います。私もこんな大きな事件だと思わず、本当に驚いています」
江口容疑者の15年来の知人という男性は、江口容疑者が幼い頃からゲームに興じる姿を目の当たりにしてきた。
「マサキと仲良くなったのは、小学校の頃の集団登校で一緒に登校するようになったのがきっかけでした。あだ名は特になくて『マサキ』とか『エグチ』って呼ばれていましたよ。集団登校の集合場所はあるアパートの前だったんですが、放課後には一度家に帰ってニンテンドーDSを持ってそのアパートの前に集まってゲームをするということをよくしていました。
近所の子ら4、5人で集まってイナズマイレブンとか太鼓の達人とかをよくやっていました。マサキはそのメンツの中でもゲーム好きで、ゲームの話もうれしそうにするし、実際にゲームしているときもいつもニコニコ笑ってて、負けたから怒るとかゲーム機を投げるとかそんなことはしたことありませんよ。小学校のころまではみんなもゲームばかりやっていたこともあって、マサキはゲームの話題を明るく話していたので、運動とかは活発ではないですが、明るいやつだと思われていました」
自宅に人を入れたがらなかった母親だが…
子供時代の江口容疑者は、好きなゲームのことで友人とトラブルになるような気配は感じさせなかったという。しかし、中学生になると印象が変わったようだ。
「中学生になってもゲームをしたりして遊んだりしましたが、そのころくらいからどちらかというとインドアな感じになっていきました。暗いというかおとなしいタイプで、暴力沙汰や問題になるような行動は一度もなかったですね。
ただ家は厳しいというか、そういう印象はありました。お父さんは若干コワモテで、お母さんはマサキが小学校時代はいわゆるギャルママっぽい感じの人でした。外で遊んでるときに『マサキん家行こうぜ』と言うと、決まってマサキに『お母さんに絶対に友達を連れてこないで』って言われているからと断られました」
他人を家に入れることを母親が極端に嫌っていたことを知っていたこの男性は、江口容疑者が自宅に女子高生を連れ込んでいたことに違和感を覚えたという。
「教育熱心とかそういう理由ではなく、家に人を入れること自体に厳しかった記憶があります。そんなこともあって今回の事件は信じられないというか、小中時代にマサキがムキになるところを見たこともなかったので本当に驚きました。
ゲームで口論になったと言っているようですが、僕の知っているマサキは、何か言われたら引き下がるタイプです。ゲームの他にみんなで集まってサッカーもやったのですが、マサキがみんなから『お前のせいで点が取られた』と責められたことがあったんです。そのときもキレて暴れるのではなく、マサキは泣いて家に帰ってしまったんです。
ただ最近のマサキのことはよく知りません。兄貴と一緒に近所のスーパーの鮮魚コーナーでバイトしていたという話は聞きましたが、詳しいことはわかりません。僕が最後に会ったのは5~6年前、マサキが犬の散歩をしているときにたまたま見かけて『久しぶり』と声をかけたんですが、『うん。久しぶりです』とすごく他人行儀になっていました。それ以来のことは知らなくて…」
引っ込み思案なゲーム好きの少年の激情に点火したスイッチは何だったのか。悲惨な事件の解明にはもう少し時間がかかりそうだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班