この夏で丸10年を迎えようとする山口組分裂抗争。今年1月、六代目山口組系元組員が神戸山口組のトップ・井上邦雄組長宅を襲撃してから2ヶ月以上抗争事件が起きておらず、沈黙が続いている。
この間、六代目山口組は水面下で外交活動に力を入れていた。2月、福岡・福博会の金城國泰会長、京都・会津小鉄会の金子利典総裁、山口・合田一家の末広誠総長の誕生祝いに竹内照明若頭補佐をはじめとした最高幹部が訪問している。3組織とは親戚・友好団体であるため、関係強化を図ったものと見られる。また稲川会、松葉会と3組織で食事会も催すなど外交活動を活発化させていた。
トップである司忍組長は1月25日の83歳の誕生日会以降、メディアの前に姿を現していなかったが、NEWSポストセブンはトップ自ら極秘外交に臨む姿をキャッチしている。
2月12日、司組長の姿は愛知県瀬戸市の傘下組織事務所にあった。同月8日、沖縄の指定暴力団・旭琉會で継承盃が行なわれ、糸数真・二代目会長が誕生。糸数会長は最高幹部とともに国内の暴力団組織に継承挨拶を行なっていて、この日、傘下組織事務所で司組長との面会が行なわれたのだ。
「2019年、沖縄統一を成し遂げた旭琉會の先代・富永清会長が亡くなった際、六代目山口組は最高幹部が弔問に訪れていますが、六代目山口組と旭琉會は親戚・友好団体の関係にはありません。冬の時代が続く暴力団。六代目山口組としても全国の暴力団組織と関係を強化して乗り切ろうという意向が窺えます」(実話誌記者)
大雨の中笑顔を見せた司組長
当日は小雨が降る悪天候だったが、多くの警察官が事務所前で警戒にあたっていた。午後2時前に高山清司若頭ら最高幹部が姿を現すと、司組長を乗せた車が到着。この日の司組長はグレーのジャケット、黒いタートルネックを着用。竹内若頭補佐が雨に濡れないよう傘をさし、事務所に入った。
その約1時間後、雨脚が強まるなか、糸数会長らを乗せた2台の高級車が到着。津田力若頭補佐の案内のもと事務所に入って行った。
会談は30分ほどで終了。事務所から笑顔で現れた糸数会長は竹内若頭補佐らと言葉を交わし、送迎車に乗り込んだ。
「司組長は傘をささずに送迎車の近くまで歩み寄り、車中の糸数会長と笑顔で言葉を交わしていた。大雨でしたが、司組長は濡れることを厭わず、車が見えなくなるまで事務所前で見送っていた」(同前)
3月から山口組分裂抗争の終結に向けて、有名組織が全国の暴力団を巡っているという情報が連日のように流れている。警察、メディアの強い関心が六代目山口組に向けられている。