昨年9月に能登半島北部を襲った記録的な豪雨で設けられた石川県内の避難所が13日、全て閉鎖された。能登半島地震の避難所も1日に閉鎖済みで、避難所入所者はゼロとなった。
「つらいこともあったけど、お世話になりました」。13日、県内最後の避難所となった輪島市立大屋小で、1人で避難していた谷内口(やちぐち)喜美さん(71)が、誰もいなくなった体育館内を見渡しながらつぶやいた。
同市大沢町の自宅は昨年元日の地震で屋根や壁が崩れて半壊し、同年3月まで同県加賀市の温泉旅館に2次避難した。翌月、自宅に戻り、大工の仕事の傍ら、自分で修理を続けた。「(修理が)年内に終わればいい」。そう思っていたところに豪雨が襲った。
自宅は膝丈まで床上浸水して再び住めなくなり、約8キロ離れた大屋小で避難生活を送ってきた。13日から仮設住宅で暮らし始めた谷内口さんは「2度の被災に負けていられない。また自宅を修理して地元に必ず戻る」と意気込む。
県によると、昨年の豪雨災害では発生直後、地震とは別に県内の108か所の避難所に最大1453人が身を寄せた。地震の避難者はピークの昨年1月4日に3万4173人に上った。
地震と豪雨で必要になった仮設住宅は3月末までに全て完成し、4月8日時点で1万3945人が入居。みなし仮設住宅には10日時点で6843人、公営住宅には850人が暮らす。今後は恒久的な住まいの確保が急務となる。
過去の災害では避難所の閉鎖までに東日本大震災で10か月、熊本地震で7か月かかった。