不登校の卒業生6人、平均台に座って卒業式3時間 さいたま市の中学校 校長を厳重注意

さいたま市の市立中学校の卒業式で、不登校などの卒業生6人が、平均台に座って参加していたことが16日、さいたま市教育委員会への取材で分かった。市教委は「配慮に欠ける対応だった」として、校長を厳重注意した。
市教委によると、3月14日に学校の体育館で開かれた卒業式には、卒業生約300人と保護者、教職員らが参加。不登校などの事情のあった6人については、体育館の2階後方の「ギャラリー」と呼ばれるスペースで参加した。平均台はギャラリーに3台あり、このうち2台がギャラリーに2列で置かれており、この2台に6人は着席したという。1台はギャラリーの端に置かれていた。
当日、ギャラリーには教員数人がおり、1人は生徒達と一緒に平均台に着席。カメラ撮影係だった教員2人は、立ったまま撮影にあたっており、2階部分では、教員はパイプイスには座っていなかったという。
卒業式は約3時間にわたって執り行われた。「お尻が痛かった」との生徒の保護者からの訴えがあり、事態が把握されたという。
この学校では、卒業式にさまざまな事情で参加できない生徒について、2月から、本人と保護者に意向を確認し、参加のあり方を決めていたという。この意向確認後、学校ではギャラリーにパイプイスを配置して、着席してもらい、参加してもらうことを決定。本来は、ギャラリー中央にパイプイスを並べ、生徒に座ってもらう準備を整えていたという。
しかし、卒業式の当日、準備されたパイプイス40脚は、ギャラリーではなく、ギャラリーと繋がっている体育館2階部分の両脇を通る通路に20脚ずつ並べられていた。生徒たちはイスには座らず、ギャラリーに横2列になるように並んでいた2台の平均台に、座ることになったという。また、当日以前に行われたリハーサル時も、同じように配置してあったという。このリハーサルに6人が参加していたかは不明。
市教委によると、学校では、普段の学校集会などに、不登校などの生徒が参加する際にも、ギャラリーの平均台に座って参加させる対応がとられていたという。このため、卒業式の問題発覚後、普段の集会でも平均台をイスとして使ってきたことも問題視し、平均台を撤去したという。
市教委では、本人、保護者の意向確認の上で決めた参加形態が実際の場面で、「イスの配置、着席の指示など具体的な連絡をしっかり行えておらず、非常に配慮に欠ける対応になった」としている。