「言葉に心強さを感じた」 ローマ教皇死去、広島の被爆者らも追悼

21日に死去したフランシスコ・ローマ教皇は2019年に広島と長崎を訪れ、被爆地から核兵器廃絶を訴えた。ゆかりの被爆者からは悼む声が相次いだ。
当時、平和記念公園(広島市中区)で教皇に被爆証言をした梶本淑子さん(94)=同市西区=は「遺志を継いで、被爆体験を語り続けたい」と語った。原爆投下直後にやけどで皮膚が垂れ下がった大勢の人を見たことや、数日後に再会できた父親が1年半後に突然亡くなったことなどを話すと、教皇はじっと耳を傾けていたという。
梶本さんは、教皇が原爆慰霊碑前で「武器を手にしたまま、愛することはできない」と語ったことに力強さを感じたという。「平和のためには武器を手放さないといけないという教皇の言葉が尊く、ずっと心に残っている」と話した。
在日韓国人2世の被爆者、朴(パク)南珠(ナムジュ)さん(92)=同区=も慰霊碑前で教皇と対面した。「温かい両手で私の手を包んでくれた。感激だった」。優しいまなざしを向けてくれたという。「核兵器はあまりにも残酷で憎い。影響力のある教皇の言葉に心強さを感じた」と語った。【武市智菜実、根本佳奈】