参院選の候補者が正式に決まらない…国民民主党「玉木執行部vs参院女子」の熱き内部ドタバタ対立

【永田町番外地】#23
国民民主党が夏の参院選に向け、公認候補の擁立を急いでいる。中でも直近まで「日曜討論」のキャスターを務め、NHKの“顔”ともいわれる牛田茉友(東京選挙区)と元民進党政調会長の菅野志桜里(旧姓・山尾)、元参院議員で格闘家の須藤元気の3人は、その高い知名度を生かした個人票の上乗せを期待できる目玉候補であろう。
ところがどっこい、初顔の牛田はともかく、菅野、須藤については擁立報道直後から既存メディア、ネット民から批判が殺到。とりわけ菅野については、不倫相手の元妻を自殺に追いやった過去が指摘され、それでいて夫婦別姓、LGBT推進、女性の地位権利向上を叫ぶ政治姿勢や人間性が罵詈雑言入り交じり厳しく批判され、これを擁立した国民民主党の体質、不見識まで問われる事態に。
「菅野さんについては、先日の両院議員総会で問題視する声が多く、正式決定を見送りました。特に保守系議員からの反発がすごかったようです」(同党職員)
執行部で一度決めた公認候補者が、所属議員の反発で差し戻しされるというのは、前代未聞の事件だが、先週には、大阪選挙区からの出馬が内定していた元維新の衆院議員、足立康史の擁立が見送りとなっている。
候補者選定基準がよくわからない
「菅野は議員総会で保守系議員に潰されましたが足立擁立は玉木、榛葉の代表、幹事長コンビが主導。ところが、それを党広報委員長を兼務する伊藤孝恵選対委員長代理と舟山康江参院会長が役員会でひっくり返した。知名度や集票力、政策能力なら菅野とは遜色なし。正直いって候補者選定基準がよくわかりません」と、全国紙記者は、足立擁立に異を唱えた伊藤らの判断に首をかしげる。
足立擁立を見送ったのは、維新時代に労組批判をしていたことが理由だという。党職員の一人は「うちの先生たちは連合の支援がなければ勝てませんから、どうしても組合に忖度してしまう。それに足立はバリバリの保守の政策通ですから、夫婦別姓を叫んでいる連合の芳野(友子会長)や参院女子からすれば天敵でもあるのです。玉木も榛葉も女性問題を抱えているから彼女たちには頭が上がらないようです」と裏読みする。
その言を裏付けるように、23日には、円より子衆院議員率いる「男女共同参画推進本部」の会合で、夫婦別姓のあり方をめぐり、婚姻前の旧姓に法的効力を与えるとした玉木代表案が、選択的夫婦別姓を主張する立憲案に歩調を合わせる参院の女子パワーに一蹴されてもいる。
これまで国民民主党は「第2自民党」とヤユされてきたが、立憲との再合流を望む連合に加え、女子パワーが圧倒する参院は第2の立憲民主党化に傾く。参院選の候補者選びで見えてきたのは、国民民主党が結党以来引きずってきた衆参路線対立の根深さだ。(敬称略)
(特命記者X)