太平洋戦争で日米が激戦を繰り広げたパラオ・ペリリュー島で確認された日本兵の集団埋葬地を巡り、政府は5日、遺骨収容に向けた協力をパラオ政府から得ることで合意した。厚生労働省は早ければ2027年度までに、埋葬されているとみられる約1000体全ての収容作業を終えることを目指す。
戦没者の遺骨収集を巡っては、国の「集中実施期間」が29年度まで延長されており、戦後80年の節目で収容促進に向けた弾みとしたい考えだ。
厚労省によると、パラオ諸島での戦没者は約1万6200人で、約1万200人がペリリュー島で戦死。島では25年3月末現在で、約2400体が未収容となっている。
国は14年に集団埋葬地に1086人が埋葬されたとする米国側の資料を入手。その後、位置情報などが記載された資料などを基に現地調査し、地下40~60センチで遺骨を発見。24年9月に集団埋葬地と特定し、これまでに19体相当を確認した。
埋葬地は島中部のジャングルにあり、作業にはパラオ政府職員の立ち会いが必要となる。遺骨の収容を加速させるために、今回の合意でパラオ側が最大限の協力をすることを確認した。
国は今年度予算で、集団埋葬地での遺骨収容の関連予算として前年度から倍増となる9300万円を計上。作業日数も倍に増やす。同省は「26年度以降は1年にわたって毎月作業できる体制を取り、おおむね27年度までに収容作業を終えたい」としている。【肥沼直寛】