日本列島の南岸に沿って流れる黒潮が、大きく南に迂回(うかい)する「黒潮大蛇行」について、気象庁は9日、終息の兆候がみられると発表した。2017年8月から7年9か月続き過去最長の期間になっていたが、4月後半には大きな蛇行が観測されなくなっていた。7月頃に最終判断する。
黒潮大蛇行は、黒潮が紀伊半島沖から東海沖で南に数百キロ・メートルにわたって大きく蛇行する現象で、1965年以降、今回を含めて6回観測されている。水温の変化で漁場が移動したり、東海~関東地方では高潮の危険性が高まったりする。終息すると、漁業や船舶の運航に影響する可能性がある。
中村尚・東京大特任研究員(気候力学)は「関東や東海地方では水蒸気量が増えて豪雨が発生したり、夜に気温が下がりにくくなったりしていた。終息すると気象にどんな変化が起きるか注視したい」と話している。