中3男子が自殺 追い詰めた同級生のいじりと「だるがらみ」いじめ見過ごした学校の不作為

大阪市立中学校で令和5年8月、当時3年生の男子生徒が自殺する事案があり、いじめ防止対策推進法に基づき大阪市教育委員会が設置した第三者委員会の部会(部会長=曽我智史弁護士)は12日、調査報告書を公表した。同級生から継続的に受けた「いじり」や無視などをいじめと認定し、自殺の「最大の要因」と結論付けた。学校側が、いじりをいじめと認知せずに深刻化させたと指摘した。
報告書によると、男子生徒は水泳部に所属し、1年生のころから同級生部員に「女好き」などといじられた。2年生以降は特定の部員から継続的に、しつこくからまれる「だるがらみ」を受けたほか、「うざい」「じゃま」などと悪口をいわれたり無視されたりした。
3年生で臨んだ5年8月の水泳大会の後の打ち上げは男子生徒を排除して開かれ、当日夜にグループLINE(ライン)などを通じて知った男子生徒は「これ以上傷つきたくなかった」などと遺書を残して自殺した。
報告書は、いじめ防止対策推進法で「心身の苦痛」を感じる行為をいじめと定義していることを踏まえ、男子生徒へのいじりは「生徒の人格や尊厳を犠牲にして笑いをとる」行為だと問題視し、いじめと認定した。
部活動を中心にいじめが日常化し、他の生徒が黙認または同調したことで、男子生徒が孤立感や無力感を深めたと指摘。「数々のいじめがなければ、自死に至らなかった」と判断した。
学校側の対応では教員らが、中心的な加害生徒のいじりを注意したものの、場を盛り上げる側面からいじめと区別し「いじりの怖さや非倫理性に留意していなかった」と批判。いじめ事案として認知すべきいじりを見過ごし、エスカレートさせた一因とした。
その上で、学校として「いじめの認知力が低く、対応に関する組織力は脆弱(ぜいじゃく)」と評し、「部活動ならではの人間関係の機微、そこから生じるいじめのおそれについても十分に配慮」するよう求めた。

不安や悩みの主な相談窓口は、こころの健康相談統一ダイヤル(0570・064・556)や、よりそいホットライン(0120・279・338)など。