羽田空港ターミナルビルのマッサージチェア(MC)事業を巡る疑惑で、国土交通省は12日午前、日本空港ビルデング(東証プライム上場、東京)に対して再発防止を求め、行政指導にあたる文書厳重注意をした。再発防止策の実施状況の継続的な報告も要請した。
この疑惑は、古賀誠・元自民党幹事長(84)の長男(52)が経営するコンサルティング会社「アネスト」(東京)に対し、空港ビル社側が不適切な利益供与を続けていたとされるもの。空港ビル社の特別調査委員会は9日、MC事業を巡る長男側への利益供与は2006~16年で総額約4億3000万円に上ると認定した。
利益供与は、空港内に掲示する広告の募集業務や施設経営の相談業務といった取引でも繰り返されており、一連の取引を主導した前社長の横田信秋氏(73)と前会長の鷹城勲氏(81)は、いずれも9日付で引責辞任している。
国交省は文書の中で、アネストとの一連の不適切な取引について、「公共性の高いインフラ(社会基盤)の一翼を担う空港ビル社が、空港ターミナル内で長年にわたり不適切な行為を続けてきたことは、コンプライアンス意識の欠如とともにコーポレートガバナンスが機能不全をきたしており、空港利用者の信頼を損なうもので誠に遺憾だ」と指摘した。
空港ビル社の田中一仁社長(60)は読売新聞の取材に、「厳重注意を厳粛に受け止めている。しっかり再発防止に努めていく」と話した。