石破首相は20日、「コメは買ったことがない」などと発言した江藤農相を更迭する方針を固めた。立憲民主党など野党5党が江藤氏の更迭を首相に求める方針で一致し、与党からも「コメの価格が高騰する中、不適切だ」として引責辞任を求める声が出ていた。後任には小泉進次郎・元環境相の起用が有力となっている。
複数の政府・与党幹部が明らかにした。江藤氏は21日にも首相に辞表を提出する見通しだ。昨年10月の石破内閣発足以来、初の閣僚更迭となる。夏の参院選を控える中、内閣支持率が低迷し、苦しい政権運営を強いられる首相にとって大きな打撃となるのは必至だ。
19日に江藤氏を厳重注意した首相は当初、江藤氏を続投させる考えだった。首相は20日、記者団に対し、「コメの価格高騰に対し、きちんと答えを出してもらいたい」として引き続き職務にあたらせる方針を表明した。江藤氏も20日の記者会見で、「私自身が備蓄米の放出を決断した本人でもある。最後まで責任を取るところまでやらせていただきたい」と述べていた。
その後、野党5党の国会対策委員長が国会内で会談し、江藤氏の更迭を求める方針で一致した。21日の党首討論までに首相が応じない場合、江藤氏に対する不信任決議案の提出を検討することも確認した。立民の野田代表も党首討論で、首相の任命責任を問い、更迭を求める構えだった。
不信任決議案に法的拘束力はないが、少数与党下では野党が足並みをそろえれば可決される。自民党内でも首相に更迭を求める声が高まっていた。
江藤氏は衆院宮崎2区選出の当選8回。18日の佐賀市内の会合では「コメは買ったことがない。支援者がたくさんくださる。売るほどある」などと発言した。
小泉氏は自民党農林部会長として農協改革に携わった経験があり、米価引き下げに向けた改革手腕に期待しているものとみられる。小泉氏は、衆院神奈川11区選出で当選6回。石破内閣発足にあわせ党選挙対策委員長に就いたが、昨年10月の衆院選後に辞任した。