北朝鮮による拉致被害者の救出を求める国民大集会が24日、東京都内で開かれた。例年春と秋の年2回開催で、2月に有本恵子さん(65)=拉致当時(23)=の父、明弘さんが亡くなってからは初めて。親世代の被害者家族会メンバーで存命なのは横田めぐみさん(60)=同(13)=の母、早紀江さん(89)だけとなり、家族らは日本政府に対し一刻も早い局面打開を改めて訴えた。
集会に出席した石破茂首相は、「何としても突破口を開くべく、(日朝の)首脳同士で率直に話し合う。これまで行ってきたさまざまなルートでの働きかけを一層強める」と強調。6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)を念頭に、「米国をはじめ、国際社会に対して一層の協力と理解を求める」とも述べた。
めぐみさんの弟で家族会代表の拓也さん(56)は、大型連休中の訪米でトランプ政権関係者から問題解決への支持を取り付けたことを報告。その上で、石破氏へ「国民が拉致されて50年近くたつ。速やかに原状回復してほしい」と訴えた。さらに、「親世代が亡くなった後の帰国では、むしろなぜ元気なうちに帰国させなかったのかと、国民は怒る。日朝国交正常化にも、私たちは反対に回る」とし、日朝双方に行動を求めた。
早紀江さんは「元気にめそめそ泣かずに頑張っていきたい」と話した。
集会には約800人が参加。親世代が存命中に被害者の即時一括帰国が実現するなら、日本政府による人道支援や独自制裁解除に反対しないとし、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記に決断を求める決議を採択した。