価格高騰でひとり親家庭へのコメ支援中断…ふるさと納税活用の取り組み、秋の収穫まで再開困難か

コメ価格の高騰を受け、長崎県諫早市がふるさと納税を活用してひとり親家庭などにコメを届ける取り組みを中断したことがわかった。市は「秋の収穫まで再開は難しいだろう」としている。
市外在住の寄付者がふるさと納税の仲介サイト「ふるさとチョイス」で「子育て世帯向け返礼品(米)」を選択すると、寄付者本人ではなく、ひとり親家庭の支援に取り組む同市のNPO法人「シームレス」に届く仕組み。シームレスは、支援が必要な世帯に寄付1口あたりコメ9キロ(約3世帯分に相当)を渡す。
コメは、地元農家が化学肥料を通常の半分以下に抑えて栽培した特別栽培米。ふるさと納税を通じてNPO法人と共同で直接支援するのは県内初の取り組みで、昨年8月から寄付の受け付けを始めた。
当初は1口1万5000円で、同11月からはコメ価格高騰のため同1万8000円に変更。寄付は昨年12月までに5件寄せられ、シームレスが2月に5件分計45キロをひとり親家庭に届けたという。
しかし、価格はさらに高騰し、寄付額を1口2万6000円まで上げざるを得なくなった。5月には農家に提供できるだけの在庫がなくなり、市は「返礼品が確保できない状態で寄付は受けられない」として、5月2日に寄付の受け付けを停止した。
シームレスの上野辰一郎理事長は「コメ価格の高騰は仕方ないが、寄付が受けられない事態は残念だ。一日も早く再開してほしい」と話している。