フジテレビの第三者委員会が認定した元タレント、中居正広氏の「性暴力」を巡る一連の問題で、フジは5日、同社の港浩一前社長と大多亮元専務の法的責任を追及することを会社法に基づき決定し、訴訟準備に入ったと発表した。
第三者委の調査報告書によると、フジのアナウンサーだった女性は令和5年6月、中居氏から「『業務の延長線上』における性暴力」を受けたが、港氏や大多氏らは「男女間のトラブル」と即断。コンプライアンス推進室などへの情報共有も怠り、社として取るべき対応を取らなかった。
また、フジは同日、当時の編成部長を4段階降職、懲戒休職1カ月とする処分を発表した。処分は2日付。元編成部長は中居氏から依頼を受けて女性に現金を届けるなどしたことが2次加害となり得るとされ、さらに後輩女性社員へのハラスメントなど4件の不適切な行為を認定された。
ほかに編成制作局長を減俸50%、アナウンス室長を譴責、人事局長を戒告(いずれも当時の肩書)とし、平成30年に週刊誌報道されたハラスメント事案でも当時の報道局長を懲戒休職とした。
記者会見した清水賢治社長は、港氏らへの訴訟について「現象としてはフジの放送収入の大幅な低下がある。(損害賠償請求の)方向だとは思うが、どの程度因果関係があるかは現段階で申し上げられない」と述べた。
処分人事が調査報告書公表の約2カ月後となったことについては「関係者へのヒアリングを複数回実施し、懲罰委員会で慎重に審議し決定を丁寧に進めた」と説明した。