土木学会は11日、マグニチュード9級の「南海トラフ地震」による長期的な経済・資産の被害額は計1466兆円に上るとの推計を公表した。「国難」級の被害になり、復興までに20年超を要するが、堤防などのハード対策により被害額は約3割減らせるとした。
政府の中央防災会議の作業部会は3月、南海トラフ地震の新たな被害想定を公表し、発生後1年の経済被害(資産の被害を含む)を292兆円と推計した。土木学会は今回、同想定を基に復興までの期間や被害額を試算した。
期間は22年に及び、被害額は地震や津波で建物などが損壊する直接的な「資産被害」が225兆円、道路や港湾施設の破壊により経済活動が滞る間接的な「経済被害」が1241兆円。2018年の前回試算(計1410兆円)から微増となった。
一方、海岸堤防のかさ上げや、主要な橋や民家・ビルの耐震化といったハード対策が進めば396兆円を削減でき、復興期間も約18年に短縮できるとした。
他の大規模災害の被害額も試算し、首都直下地震は1110兆円で昨年発表時(1001兆円)より約1割増加。東京湾巨大高潮は115兆円、伊勢湾巨大高潮は126兆円、大阪湾巨大高潮は191兆円としている。