1人数万円“給付”実施へ 与党が合意「物価高」対策として“再浮上”…街の人は「焼け石に水」「お金で票を買うように見える」【news23】

与党は物価高対策として、現金などの給付を行うことで合意しました。一度は“バラマキ”と批判され撤回した“給付案”。なぜ再浮上したのでしょうか。
「たこ焼き作れない」マダコの価格が5年前の約2倍に
大阪の人気たこ焼き店「会津屋本店」(西成区)は、ダシの効いた「元祖たこ焼き」が名物です。しかしタコの価格高騰で、12個入りを550円から600円に値上げしました。
会津屋 遠藤勝社長 「一番安いころと比べて2倍ですね。スーパーの並んでいる価格を見たら恐ろしい価格になっている」
旬の魚や蟹などが並ぶ都内の鮮魚店「魚河岸中與商店武蔵小山店」(品川区)では、パック売りのマダコは99グラムで税込み748円。5年前の価格の約2倍です。
Q.タコの価格を見てどう?
70代・客 「高いですよね、たこ焼き作れない」
物価高が家計を圧迫するなか、その対策として、10日に与党が合意したのが…
自民党 坂本哲志国対委員長 「税の増収分を給付という形で還元をするという認識で一致をしました。参院選に向けての公約ということでいいと思います」
一度は断念した、現金などの“給付策”です。
税収の上振れ分を財源にして赤字国債は発行しない見通しで、給付額は国民1人あたり数万円を検討。公明党は「年内に給付できるのが望ましい」と主張しています。
これについて、“消費税減税”を求める野党からは次のような声が上がりました。
立憲民主党 野田佳彦代表 「前も給付を考えていたけど、バラマキという批判があって引っ込めた。物価高は深刻ですので、何もやらない無策ではさすがに参議院選挙を乗り切れないと追い込まれて判断したのでは」
国民民主党 玉木雄一郎代表 「増えた税収は国民のものですから。自分が選挙のために使い勝手のいいお金じゃないんでね。勝手に使うんではなくて、もしそんな余ったお金があるんだったら、減税で国民に返すべきです」
1人あたり数万円の“給付”に街の声は?
街の人に話を聞くと…
60代・公務員 「助かるは助かるんですけど、一時的に。今後はそれが終わったらどうなのかなというのは、自分で考えないといけない」
60代・公務員 「一時的な現金給付よりは消費税を下げてもらったりとか、なるべくずっと続くような形の方が私は助かると思う」
40代・公務員 「お金は税金なので、国のお金で票を買うみたいな感じに見えちゃったりすると思うので、あまり良いことではないのかなと」
30代・アルバイト 「国の借金が多いと思うので、そこをちゃんとしてから対策をした方が良い」
30代・会社員 「数万円いただいたとしても物価高には見合ってないというか、焼け石に水というか、もっとベース、給料を上げていただかないとまかないきれないのではないか」
与党は今後、給付の額や方法、所得制限を設けるかなど詳細を協議します。
給付案、なぜ再浮上?食料品減税案の代わりか
藤森祥平キャスター: 街の皆さんは冷静な受け止めをされていました。
この現金の給付について自民党は、経済対策としては4月の段階で「バラマキだ」という批判を受けて一旦引っ込めましたが、もう一度出してきたということです。
これについて、ジャーナリストの星浩さんに聞きました。公明党が主張していた食料品の減税案(8%→5%)を下げてもらう代わりに、自民党が給付案を提案して合意した。このようなことが背景の一つにあるのではないかと、星さんはみています。
では具体的に、給付額はいくらになりそうなのでしょうか。星さんの取材では、まだ流動的ではあるものの、1人あたり3~5万円で調整されているのではないかということです。
財源は税収の上振れ分を活用する方針で、赤字国債は発行しない見通しとのことですから、今回は「財源は示したぞ」という形ですね。
プチ鹿島さん: 早速バラマキといわれていますが、もっというなら、これは信念のないバラマキだと思います。
星さんの取材によると、4月に引っ込んだ案をまた持ってくるというのは、国民や有権者向けの対策というより、公明党向けの対策ですよね。どこを向いているのか、すごくフラフラしています。やはり消費税減税についてだけは話したくないから、こういう話になるのでしょう。
野党もそれぞれ減税対策、消費税減税のことを話していますが、財源はセットでどうなるのでしょうか。これについては朝日新聞の興味深い世論調査(5月)があり、72%の人が「消費減税の財源を示すべきだ」と答えていました。
いろいろなアイデアはあっていいんだけれども、財源も含めて、もっとギチギチやってよということですよね。僕もそれを見たいです。
藤森キャスター: 野党全体で。
プチ鹿島さん: 選挙があると法案などは先送り、見送りにして、耳心地のいい言葉だけを出すというのは何回目なのでしょうか。
小川彩佳キャスター: 耳障りの悪いことも含めて、いかに発信するのかを聞いていかないといけませんよね。
プチ鹿島さん: ちゃんと話を聞きたいです。
======== <プロフィール> プチ鹿島さん 新聞14紙を読み比べニュースを読み解く アメリカや韓国など各地の選挙を取材