ユーチューブに投稿された東京都議選(22日投開票)の関連動画の平均再生回数が、4年前の前回選の関連動画より少なくとも10倍になっていることが読売新聞のデータ分析でわかった。各党や候補者も動画配信などのSNS戦略に力を入れているが、ユーチューバーらの動画の占める割合は前回選から大幅に拡大しており、再生回数を押し上げる要因となっている。
読売新聞は、告示1か月前(5月13日)から今月20日までの間に投稿された動画のうち、タイトルか概要欄に「都議選」「都議会選挙」「都議会議員選挙」のいずれかを含む計約1000本を抽出。投稿者を〈1〉政党や候補者・議員ら〈2〉テレビやネットメディアなどの報道機関〈3〉自治体や市民団体、企業〈4〉ユーチューバーら――に分類、集計した。2021年の前回選については今月中旬、告示1か月前から投票日の間に投稿された動画計約1000本の再生状況(抽出時点)を集計した。
平均再生回数は、前回選の約3700回から、今回選は約3万7000回に増加。前回選は抽出時点までの再生回数が含まれていることなどを考慮すると、今回選は10倍以上に増えていることになる。内訳は、ユーチューバーらの動画が65%で最も多く、報道機関22%、政党や候補者ら10%と続く。前回選は報道機関46%、政党や候補者ら32%、ユーチューバーら21%の順だった。
ユーチューバーらの動画は全動画数の約半数に上る。演説や討論を短く編集した「切り抜き動画」が目立ち、再生時間が1分未満の動画は前回選の19%から35%に増加。一方、動画の再生回数が「10万回以上」は1割程度で、半数が「1万回未満」となっている。
分析結果について、選挙のSNS分析を手がけるJX通信社の米重克洋社長は、「昨年の東京都知事選や衆院選などに続き、都議選でも選挙関連情報の収集に動画の利用が広がっていることが示された形だ」と指摘。その上で「SNSには自分好みの情報ばかりが表示されたり、偽・誤情報が氾濫したりするリスクもある。有権者は慎重に接する必要がある」と注意を呼びかけている。