悪質なホストクラブなどの取り締まりを強化する改正風営法が28日から施行されます。恋愛感情を利用して金を払わせる、いわゆる「色恋営業」が新たに禁止されます。ホスト業界はどう受け止めているのでしょうか。
九州一の歓楽街、福岡市・中洲。去年1月、1軒のホストクラブが警察から摘発されました。
■ホスト
「エンジェルもらいました。ハッピーハロウイーン。」
無許可で営業した上、未成年に酒やたばこを提供したとされています。この店に通っていた、当時17歳の少女は「推し」のホストに会うため大金を使っていました。少女は援助交際で金を稼いでいたといいます。
■少女(当時17)
Q.一晩でどのくらい使った?
「多いときで80万円くらい。自分の支えにもなっていたし、楽しかったから。嫌われたくなかった、好きだったから。」
店から押収されたマニュアルには「色恋・イチャ営OK」の文字がありました。相手の恋愛感情を利用し売り上げにつなげるよう、ホストに指示していました。
こうした「色恋営業」を禁止したのが、28日から施行される改正風営法です。
『売上トップになれなかったら、もう会えなくなる』
『別れたくないならシャンパン入れてほしいな』
恋愛感情につけこんでお金を使わせる接客は、すべて違法行為となります。
法改正の背景にあるのは、ホストクラブで支払いを後回しにする「売掛金」の問題です。この女性は以前通っていた店で、多額の「売掛金」を請求されたといいます。
■女性
「きょう、そんな(お金)持ってきていないって言うのですが、掛けでいいけん、大丈夫と勝手に頼んで、最終的に売掛金になって請求される。最高で100万円近く。一時期は、お店のオーナーじきじきに(性風俗店を)紹介されることもありました。」
「売掛金」の支払いのため売春を強要されたなど、ホストクラブに関連する相談は年々増加し、社会問題化していました。
28日からは新たに、支払いできない客に対して性風俗店勤務や売春を要求することも禁止され、違反すれば、6か月以下の拘禁刑・100万円以下の罰金のいずれか、もしくは両方が課せられることになります。
中洲で出会ったホストの男性に、今回の法改正について尋ねました。
■クラブ リベリオン・マコトさん
「恋愛感情を利用した営業のかけ方をしないように、お店の上の人から全員集められてしっかり説明されました。」
■クラブ リベリオン・けんしんさん
「お金を使わなければ離れるとか、そういうことを言わなければ、かっこよかったら来るし、おれらの見せ方次第かなと思います。」
2人が働く店では、もともと「色恋営業」や「売掛金」の禁止を徹底していたといいます。店の代表者も法改正を肯定的に受け止めていました。
■RIGHT GROUP 会長・ライライさん
「いままでのホスト業界がおかしかったと思っています。(風営法の改正は)当たり前のことかなと。女の子も女の子で、色恋営業がないホストクラブなんて楽しくないと思っていると思うし、色恋を使った悪質なことをしている人がいる。その一部の人間が規制されるだけ。」
女性たちにひとときの夢を提供するホストクラブ。今後はどの店も、客を満足させるムード作りと違法行為との境界線に目を光らせる必要があります。
28日から施行される改正風営法で新たに禁止されるのが、客の恋愛感情につけこむ「色恋営業」です。
さらに、料金についての虚偽の説明や、注文していない酒やつまみの提供も禁止され、これらに違反すると行政処分で営業停止になる可能性があります。
今回、「売掛金」そのものは罰則の対象になっていませんが、支払いのため、客に売春などを要求した場合、6か月以下の拘禁刑・100万円以下の罰金のいずれか、もしくは両方が課せられることになります。
※FBS福岡放送めんたいワイド2025年6月26日午後5時すぎ放送