参院選の期日前投票が始まった4日、大規模な山林火災で被災した岩手県大船渡市では、有権者が復興への思いを胸に1票を投じていた。富山市や名古屋市には、物価高対策を重視して投票する有権者の姿があった。
大船渡市で2月に発生した火災では、平成以降で国内最大の約3370ヘクタールが延焼。住宅や倉庫など200棟以上が被災し、1人が死亡した。避難指示区域の拡大とともに避難者数は増え、ピーク時で1249人が避難所に身を寄せた。いまも57世帯が応急仮設住宅などで生活を送っている。
鎮火から3か月が経過する中、同市の会社員男性(45)は「世間の関心が急速に失われていると感じる。火災で被害を受けた林業や漁業の回復には時間がかかるので、国には長期間の支援をお願いしたい」と話した。
今回、給付や減税など物価高対策を主な争点に各党が論戦を交わしており、有権者からも、物価高対策を重視する声が聞かれた。
富山大2年の女性(20)は、富山市役所1階の期日前投票所で投票した。市内で一人暮らしをし、ホテルでアルバイトをするが、食料品などの値上がりで生活に余裕はない。交通費が高く、愛媛県の実家に帰省するのは半年に1回程度。「物価高対策や、消費税減税についての考えを重視して投票した」と話した。
名古屋市中区役所に設けられた期日前投票所を訪れた同区の公務員男性(34)も、「物価高で生活が苦しい。各候補の政策を見比べ、少しでも良くしようとする候補に1票を投じた」と話していた。