クマ出没、昨年の2倍 山で餌足りず人里に 富山

9月以降、富山県でクマの目撃情報が相次ぎ、昨年同期の2倍に上る。餌を山中で得られないため、人里に出没しているとみられるが、クマに襲われ、けがをした事例もあり、県などは注意を呼び掛けている。【高良駿輔】
同県自然保護課によると、今年4月1日~9月30日に寄せられた県内のクマの目撃や痕跡情報は246件で、昨年同期の126件を大きく上回った。北陸の各県でも目撃情報は昨年よりも増えており、石川県では同時期に282件で、昨年同期の163件と比べ119件増。福井県でも同時期に166件と、昨年同期の155件より増加した。
富山市楡原(にれはら)でも目撃情報が相次いでいる。国道41号の近くにある山あいの集落だが、昨年までと比べても今年は格段に多いという。
住民の70代女性は1日午前0時半ごろ、自宅の窓から1頭のクマが歩いているのを目撃した。体長は1メートルほどで、自宅に面した道路を歩いていた。隣の家の木製の柵を登ろうとしたが、できずに諦めたような様子だったという。女性は「これまでクマ自体を見たことがなかった。まさか、自分の家のそばにいるなんて……」と驚いた様子だった。
10月に入り、クマに襲われ、けが人も出ている。黒部市で1日に、鉄塔の管理で山林を歩いていた北陸電力の男性社員(25)が茂みから飛び出したクマに襲われ、腕をかまれて軽傷。3日には立山町の黒部峡谷で作業現場に向かっていた建設会社の男性社員(53)が遭遇し、引っかかれてけが。男性を含め9人で行動していたが、「複数人であれば、安全というわけではない」(同課)という。
クマの出没が相次いでいる背景には、生息する山間地で、主食としているブナやミズナラなどドングリの実りが悪いことがある、と北陸3県の担当者は口をそろえる。これらの木は、実る量が周期的に変わるが、今年はちょうど少ない周期に当たり、全域で凶作という。餌が足りないため、山あいの人里に現れて、柿やクリ、ギンナンなどを求めているとみられる。
では、クマが近寄らないためにはどうしたらよいか。同課はエサとなる柿などの実を取り除くほか、やぶ草を刈り取り、クマの隠れ場所を作らないようにしてほしいと呼び掛けている。
また、山に行く際には鈴やラジオなどで音を出し、人間の存在を知らせることが必要という。万が一、遭遇した場合には、クマを刺激しないよう急激な動作をするのではなく、ゆっくりと後ずさりするのが効果的だ。
目撃件数は例年、10月がピークとなる。紅葉シーズンと重なり、山に行く機会も多くなることから、今後、一層の注意が必要だ。