トカラ列島群発地震、島民ら眠れぬ夜も… なぜ頻発、いつまで続く? マグマが影響か【バンキシャ!】

地震が続く鹿児島・十島村の悪石島などから、新たに46人の住民が避難してきました。トカラ列島では6日も震度5強を2回観測。この2週間あまりで震度1以上の地震は1500回を超えています。
トカラ列島の住民たちは今、どのような不安を抱えているのでしょうか。現地で取材しました。
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6日午前7時頃、鹿児島・十島村の悪石島。群発地震が続くトカラ列島で2回目となる島の外への避難が始まった。
バンキシャ!
「続々と船に乗り込んでいきます」
「小さなお子さんを連れている方もいます」
6日は、悪石島と小宝島の住民あわせて46人が鹿児島市へと向かった。
先月21日からトカラ列島近海で起こっている群発地震。震度1以上の地震は1500回以上にのぼり、7日も悪石島では震度5強の地震が2回観測されている。
いま、島々はどうなっているのか――。「バンキシャ!」は4日、フェリー乗り場のある鹿児島港へ。
バンキシャ!
「出航準備が行われています」
売り場で乗船券を購入する親子がいた。
バンキシャ!
「お子さんを連れた方がいます」
4歳の息子を連れた中村光紗さん(31)は、これから小宝島に帰るという。夫と小学生の娘2人を残し、鹿児島市に用事があり滞在していた。
取材した2日前、小宝島では震度5弱の地震があった。
小宝島の住民・中村光紗さん
「うちの主人は役場職員なので避難ができない。いざ避難するとなったときに、娘を連れて鹿児島に来られる人がいない。いったん帰らないと」
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「バンキシャ!」は4日、トカラ列島へと向かうフェリーに乗船し、島の現状を取材した。このフェリーは震度6弱が起きた悪石島、そして小宝島や宝島へと向かう。週に2往復、島々に人や物資を運ぶ重要な手段となっている。港を出てから、およそ10時間後。
バンキシャ!
「イルカが5頭、6頭くらい泳いでいます」
その先に見えてきたのは――
バンキシャ!
「近づいてきました。目の前に見えてきたのが悪石島です」
3日に最大震度6弱の地震が観測された悪石島では、6日も震度5強の地震が2回あった。乗船客の中には――
バンキシャ!
「気象庁の方ですね」
気象庁が現地調査のため職員を派遣していた。さらに、島民のケアのために看護師もいた。船から貨物もおろされる。
住民の島の外への避難が始まるなど、緊張が高まっている悪石島。
バンキシャ!
「頻繁に体に感じるような地震は?」
島民
「あります」
バンキシャ!
「寝られていますか」
島民
「やっぱり寝不足になるよね」
地震の影響で宿泊施設も休業しているという。その後フェリーは悪石島をあとにした。
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次に向かうのは、震度5弱の地震があった小宝島。中村さんは9日ぶりに島へ帰る。
中村さん
「強く揺れないでほしい」
鹿児島港を出て12時間、ようやく小宝島に到着した。
島民たち
「おかえりなさい」
バンキシャ!
「おかあさん気をつけて、気をつけてください」
中村さんは迎えに来た夫の元へ。その後、家で娘たちとも再会できたという。今後、島を離れ鹿児島市へ避難するか、地震の状況をみて考えるという。
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小宝島を離れ、12キロほど南西にある宝島へ。ここは先月21日からの地震で震度4以上の揺れは起こっていないが、地殻変動があったとされている地域だ(地震調査委員会による)。
島の地図を見ると、5分ほど坂道を上った先に住宅地があった。
バンキシャ!
「売店って書いてある。温泉もあるんだ」
出会った島の住民は、民宿を経営しているという。
民宿を営む島民
「キャンセル受けています」
地震の影響で宿泊の予約がなくなったという。
バンキシャ!
「いつキャンセル入りました?」
民宿を営む島民
「きょうから。奄美から来られる予定がキャンセル」
大きな地震は起きていないが、住民たちは不安を抱いていた。宝島では2日だけで震度3以下の地震が31回も起きた。相次ぐ地震に島民は1歳の娘の様子をこう話す――
島民
「2日にあった揺れが大きくて、宝島でも頻繁に大きな揺れを感じていて…。そのときは、しがみついて泣いて離れないって状況はありました」
地震に備え避難用のリュックを用意したという。中には、子供のおむつやお菓子、飲み物などがあった。
島民
「枕元の見えるところに置いてます。万が一に備えて、いつでも避難できるように」
島内を取材していると――
バンキシャ!
「高台にあるんですね、ここの学校は」
18人の小中学生が通っている十島村立宝島学園があった。地震に備え子供たち用のヘルメットを用意していた。自主的に登下校でかぶる子もいるという。
十島村立宝島学園・西田裕之校長
「登校のときに『必ずつけなさいよ』とは言ってなかった。何も言わなくても、かぶってきて、 かぶって帰るという流れができつつある」
相次ぐ地震に子供たちは――
小学生(10)
「(地震の)放送が流れるんです。そのときめっちゃ怖くなって寝られなかったりが多い」
小学生(11)
「(Q.たまに揺れを感じる?)どんどん敏感になってきている、地震が起きすぎて。不安もあるし、ドキドキいつもしている」
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なぜ、これほどの規模の群発地震が起こっているのか。今回の地震調査委員会のメンバーである、京都大学防災研究所・西村卓也教授は――
京都大学防災研究所・西村卓也教授
「震源がずっと同じ場所にとどまっているのではなく、2つに分かれている。主に東側の活動が活発化していたが、西側でも非常に活発化している」
考えられる要因の一つは――
京都大学防災研究所・西村卓也教授
「(トカラ列島は)海底火山がある地域ですので、元々マグマが地下にあったと考えられる。今回はマグマが深いところから浅部に移動していると考えている」
この列島の海底にあるとみられるマグマだまり。 そのマグマが上昇し活断層などを刺激することで、地震が起きているのではないかという。
では、いつまで続くのか――
京都大学防災研究所・西村卓也教授
「過去のこの地域の群発地震の活動を見ていくと、長いと3か月程度、 数か月にわたって続く事例がある。今回の活動もそれに近い期間、継続して起こる可能性がある」
(*2025年7月6日放送「真相報道バンキシャ!」より)