参政党人気「理解できない」人が見誤る熱狂の本質

世論調査で支持が急上昇した参政党。今やちょっとしたダークホースになっている。
「事実上の票の買収ではないか」との声も…。石破政権「2万円ばら撒き」公約が現役世代を完全に舐めているワケ
NHK世論調査によれば、参政党の支持率は前回より+1.2ポイントの3.1%となり、野党の中で立憲民主党に次ぐ高い上昇率を示した。ちなみに、国民民主党は5.8%(+0.4)、共産党は2.9%(+1.0)、日本維新の会は2.1%(-0.4)、れいわ新選組は2.0%(+0.3)などとなっており、共産党や維新を超える支持率となっている(参議院選挙前トレンド調査、6月30日更新)。
日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査でも、立憲、国民民主は前回(12%)と変わらなかったが、参政党は7%(前回3%)と増加しており、NHKの調査と同じく維新(6%)、れいわ(5%)、共産(3%)を上回っている(日経世論調査、6月27~29日実施)。
「カルト」「低能」…集まる批判
しかし、その一方で、主にSNS上で参政党の政策や支持者に対して、「カルト」「低能」「知性の劣化」などといった批判が集まっている。平たく言えば、「参政党の支持者は頭が悪い」といった内容である。
要因は、国民主権や基本的人権を軽視した新憲法構想案や、根拠薄弱な情報の拡散などだろう。
例えば、新憲法構想案には、「国は、主権を有し、独立して自ら決定する」(第4条)や、「国民の要件」として「日本を大切にする心を有することを基準」(第5条)にするなどとある。
また、自民党の細野豪志衆議院議員が7月2日、X(旧Twitter)で「参政党の神谷宗弊代表の『多国籍企業がパンデミックを引き起こしたということも噂されているし、戦争を仕掛けるのも軍需産業』という日本記者クラブの党首討論会での発言は、国政政党としてはさすがに非常識。陰謀論の類だろう」とポストしたが、街頭演説などにおいても事実誤認と思われる情報を度々発信している。
レッテル貼りで片付けるのも問題だ
だが、単なる蔑称やレッテル貼りで片付けることは大いに問題があると言わざるを得ない。この党勢拡大の背後にある真因に目を向けなければ状況を見誤るだろう。ポピュリズム政党の躍進には、必ず合理的な理由が存在する。何らかの策略に踊らされて支持や投票行動をしているわけではない可能性が高いのだ。
世界最大規模の世論調査会社イプソスのポピュリズムに関する動向調査の結果には、近年日本でポピュリズム政党が台頭している理由が明快に示されている。