第27回参議院選挙の投開票が7月20日に行われます。自民、公明の与党の苦戦が伝えられる一方で、参政党の躍進が注目されています。 ◆躍進する“日本人ファースト”政党 7月5、6日に共同通信が行った比例投票先についての世論調査では、参政党が自民党に次ぐ2位という結果となり、衝撃が走りました。既存の政党に対する不満の受け皿となっていることが浮き彫りになった形です。 では、参政党にはどのような点に有権者が期待しているのでしょうか。 彼らの政策を一言でまとめると、「日本人ファースト」です。党の公式ページには「3つの重点政策」として次のように掲げられています。 1つ目は、子供の教育。お金と機会の面で平等を目指しつつ、その先に「自虐史観を捨て、日本に誇りが持てる教育を!」という大きなゴールを設定しています。 2つ目は、「食と健康・環境保全」を訴えています。ここでは、反ワクチン、反再生エネルギーをはっきりと打ち出しており、他の政党と比較しても明確に断言している点が印象的です。 そして最後は、「国のまもり」です。外国人による土地の買収や移民の流入を防ぐことで、日本人だけで日本を運営していくべきだと強く訴える政策です。 こうした「保守」的な政策に加え、神谷宗幣代表が街頭演説で述べた「高齢の女性は子供が産めない」などの、“社会的に言及がはばかられる事柄”にも忖度しないという姿勢が、一部で熱狂的な支持を集めているのです。 ◆参政党、賛否両論の渦中へ しかしながら、こうした過激な主張や、国民主権をも否定するかのような思想を隠さない政治姿勢に対しては、多くの人々から懸念の声が上がっています。SNS上では、「参政党はカルトだ」や「頭が悪い」といった党自体への否定的なコメントに加えて、「参政党の支持者は頭がおかしい」といった支持者個人に向けた批判的な意見も散見されます。 このままの勢いで影響力を持つ存在となるかどうかは、選挙で問われることになりそうです。 参政党の支持・不支持を巡る声は、大きく2つの立場に分かれると考えられます。一方は、「日本の国家はまず日本人のために存在するべきだ」と考え、参政党を支持する人たち。もう一方は、荒唐無稽な政策や憲法案に基づき、「こんなものを支持する人たちはどうかしている」と否定、嫌悪する人たちです。 ◆参政党、その危うき保守の影 筆者の立場は後者の否定、嫌悪する人たちです。政策面において、いくつかの疑問があります。たとえば、子どもの教育について「自虐史観を捨て、日本に誇りが持てる教育を!」と掲げていますが、教師からの指導によって抱く「誇り」に一体どれほどの意味があるのでしょうか。