日本向けカジノサイト削除、警察庁が海外事業者に要請へ…対策法の成立受け9月にも

警察庁は17日、オンラインカジノを運営する海外のカジノ事業者などに対し、日本国内向けのサイトを削除するよう要請する方針を明らかにした。規制を強化した改正ギャンブル等依存症対策基本法が先月成立したことを受けた対応で、9月下旬の実施を目指す。
警察庁の調査では、オンラインカジノ経験者は国内で約337万人、年間の賭け金総額は約1・2兆円と推計され、サイト閲覧者の7割超は実際に金を賭けていた。サイトの大半は海外で合法的に運営されており、削除要請に実効性を持たせられるかが課題だ。
改正法では、日本国内向けにカジノサイトを開設・運営することを禁じ、広告や宣伝についても「違法」と明確化した。
このため警察庁は、海外事業者を含め、サイト運営者やプロバイダーへの削除要請に乗り出す方針で、同庁の委託を受けてネット上の違法・有害情報に対処する「インターネット・ホットラインセンター」(IHC)の運用指針を改定する方向で検討している。
IHCは、児童ポルノ画像や薬物密売などの違法情報についてサイト管理者らに削除要請してきたが、カジノサイトや同サイトに誘導するウェブ広告や動画などは要請の対象外だった。
警察庁側が把握しているカジノサイトのほか、サイバーパトロールで得た情報をIHCが集約し、サイトへの削除依頼を求める。
一方、指針の改定案では、「日本語対応」「おすすめランキング」など、問題となる勧誘の文言を例示した。オンラインカジノの「無料版」を紹介していたり、サイト利用の違法性を併記したりしていても、違法賭博への誘導などと判断される可能性がある。
カジノでプレーする映像に、サイトに接続するURLを添付するような投稿も削除依頼の対象となる。
同庁はパブリックコメント(意見公募)を経て、9月25日の法施行に合わせて国内外の事業者への削除要請を開始したい考えだ。
警察幹部は「改正法の施行により、日本ではカジノサイトの運営や広告が違法になることを国内外で周知し、粘り強く削除要請を重ねていきたい」としている。