「底なし」滝つぼの真実が明らかに 四つの滝で初の潜水調査 三重

底なしと言われた滝つぼの深さは6・5メートルだった――。三重県名張市の景勝地・赤目四十八滝渓谷の四つの滝で16日、潜水調査が行われた。赤目滝水族館によると、初の潜水調査。渓谷の公式ガイドブックには主な滝の水深が記されているが、推測らしく今回の調査で実は「意外と浅い」と分かった。
赤目四十八滝は、20以上の滝が連なる。大きな滝はないが、森の中に姿の異なる滝が続き、夏は避暑に訪れる散策客でにぎわう。
調査は、水族館を含む運営管理NPO法人・赤目四十八滝渓谷保勝会が計画し、霊蛇(れいじゃ)滝▽千手滝▽布曳(ぬのびき)滝▽竜ケ壺(つぼ)を調べた。渓谷の入山口で現地の動植物を展示する赤目滝水族館のコンセプトは「渓谷全体で巨大水族館」。潜水調査では水深と共に、川魚などの生息状況を確認し、実際の生態を伝える館内展示に生かす予定。
滝に潜ったのは、潜水士の朝田光祐館長(23)と、補助潜水士の西浩平さん(28)。それぞれの滝に潜った結果、少なくとも17年以上前に発行されたガイドブックで水深7メートルとされた霊蛇滝の滝つぼの深さは5・1メートル▽20メートルの千手滝は7・2メートル▽30メートルの布曳滝は5・2メートル▽底なしと言われるほど深いとされた竜ケ壺は6・5メートルだった。
この日の調査では、渓谷に生息する国特別天然記念物のオオサンショウウオには出合えなかった。朝田館長は「カワヨシノボリが多く集まる場所なども興味深かった。調査で明らかになる情報は多く、滝を巡る面白さが増す。調査を続けたい」と語った。
調査を見守った散策客の私立鈴鹿高校2年の山本和志さん(16)は「光の差し込み具合で、深いと思われたところが実は浅い、と分かった。滝ならではの生物の生き方もみえてくる」と喜んだ。【久木田照子】