1986年に福井市で中学3年の女子生徒を殺害したとして殺人罪で懲役7年が確定し、服役した前川彰司さん(60)の再審で、名古屋高裁金沢支部(増田啓祐裁判長)は18日、1審・福井地裁の無罪判決を支持して検察側の控訴を棄却し、「再審無罪」とする判決を言い渡した。
前川さんは87年に逮捕され、一貫して否認。1審は無罪としたが、2審・高裁金沢支部は「事件後に血のついた前川さんを見た」とする知人6人の証言をもとに逆転有罪とし、最高裁で確定した。2004年に再審請求をし、11年に再審開始決定が出たが、その後、取り消された。2回目の請求に対し、同支部は昨年10月、福井県警が各証言を誘導した疑いを指摘し、再び再審開始決定を出した。
再審公判の争点は確定審と同様、6人の証言の信用性だった。
検察側は「いくら巧みに誘導しても、6人全員に全く架空の虚偽供述はさせられない」と主張。弁護側は「各証言には多数の重大な変遷がある」として、誘導があったと訴えた。