総務省は地方公務員の兼業や副業を容易にするため、自治体が兼業・副業を許可する基準を設けて公表するとともに、環境整備を行うよう全国の自治体に助言する通知を出した。働き方の幅を広げることで、地方公務員のなり手不足の解消につなげる狙いがある。
通知は6月に出された。許可基準の策定にあたり、営利企業との兼業を一律に禁止しないことや、公務員としての職務の公正性を確保するため、兼業先との間に相反する利害関係がないことを確認するよう求めた。
報酬額が公務員としての地位を利用した不適正な額ではないか個別に判断することや、過重労働にならないよう兼業時間の上限を決めることなども盛り込んだ。個人のスキルを生かして地域に貢献するという趣旨で、自営での兼業もできるとした。書道教室や個人でのアクセサリー販売などが想定されているという。
総務省の集計では、昨年4月1日時点で兼業の許可基準を設けている自治体は全体の64・4%にとどまる。そのうち85・2%は、営利企業との兼業を原則認めていない国家公務員の基準と同様の内容になっており、地方公務員が兼業を容易にできない要因の一つになっている。