川崎重工業から接待、海自隊員ら90人規模処分へ…海上幕僚長も懲戒の見通し

海上自衛隊の潜水艦修理に絡み、川崎重工業(本社・神戸市)の社員が乗組員に物品や飲食代を提供していた問題で、防衛省が海自隊員らを大量処分する方針を固めたことがわかった。海自トップの斎藤聡(あきら)・海上幕僚長も指揮監督の責任を問われる見通し。複数の政府関係者が明らかにした。
この問題では、防衛省が特別防衛監察を行っている。昨年12月に公表した中間報告では、川重と下請け業者による架空取引の規模が2018~23年度で約17億円に上るとした。川重側が、架空取引で捻出した資金の一部を使って乗組員ら海自隊員を接待していたとみられるほか、艦内の業務や生活に使う物品を提供していたと指摘した。
同省は近く、特別防衛監察の最終報告書を公表することにしており、これに合わせて関係者を処分する。斎藤海幕長が懲戒処分となる見通しのほか、潜水艦の修理業務に関わった90人規模の隊員らが監督責任を問われ、「訓戒」や「注意」を受ける見込み。最終報告書では、詳しい再発防止策も盛り込む。
これとは別に、実際に金品を受け取った隊員については倫理規定などに違反した疑いがあるとして調査を進め、実態が解明できた段階で処分を行う。
海自では昨年7月、機密情報の取り扱いなどを巡る不祥事が相次いだ。当時の酒井良・海幕長が引責辞任し、後任に斎藤氏が就任していた。
◆特別防衛監察=重大な不正や倫理違反が疑われる問題を対象に、防衛相の指示で防衛監察本部が行う調査。南スーダンでの国連平和維持活動の報告書が隠蔽(いんぺい)された問題などで過去6回実施された。