佐賀県伊万里市東山代町長浜の民家で女性2人が侵入してきた男に襲われ死傷した事件で、県警は27日深夜、近くに住むベトナム国籍の技能実習生、ダム・ズイ・カン容疑者(24)を強盗殺人と住居侵入の両容疑で逮捕した。調べに対し、「何も話したくない」と供述しているという。
発表によると、カン容疑者は26日午後4時20分頃、民家に侵入し、住人で日本語講師の椋本舞子さん(40)をナイフで脅して1万1000円を奪い、椋本さんの首を切りつけるなどして殺害した疑い。司法解剖の結果、椋本さんの死因は失血死で、首や腹に複数の刺し傷や切り傷があった。
カン容疑者は同市内で食品加工作業員として働き、他の技能実習生ら数人と、椋本さん宅から数十メートル離れた寮で生活。寮からは凶器とみられる血のついたナイフ(刃渡り13・5センチ)が押収された。
県警によると、カン容疑者はインターホンを鳴らし、椋本さんの母親(70歳代)が玄関を開けたところ、侵入。玄関で「お金」「財布見せろ」などと言い、椋本さんから1万円を渡されたが、さらに脅して1000円を奪った後、椋本さんと母親を相次いで切りつけるなどしたという。母親は首に切り傷を負ったが、命に別条はない。
母親は玄関とは別の出入り口から逃げ出し、近隣住民に通報を依頼した。駆けつけた警察官が土間で倒れている椋本さんを見つけ、その場で死亡が確認された。室内には荒らされた形跡があり、カン容疑者のものとみられる足跡も見つかった。県警は現場の状況から、カン容疑者は単独で行動していたとみている。
県警によると、訪問時のインターホンの画像が残っており、カン容疑者の関与が浮上。県警は27日、寮にいたカン容疑者を任意同行し、深夜に逮捕した。母親は「面識がない」と説明しており、県警は椋本さんとカン容疑者に接点がなかったか調べている。
28日未明に記者会見した平川博幸・伊万里署長は「早期に検挙でき、地域の方の不安を解消したということで安堵(あんど)している」と話した。