ツーリング名所「道志みち」で死亡事故多発、特有の「Uの字」急カーブ連続…曲がった先も目視できず

ツーリングの名所として知られる山梨県道志村を通る国道413号(通称・道志みち)で、二輪車の事故が多発している。昨年までの10年間で120件を超える事故が起き、10人以上が亡くなった。今年も少なくとも6件の事故が相次ぎ、28日には高校生が死亡する事故も起きた。急カーブが連続するなどの特徴から危険性も高く、山梨県警などが対策に苦慮している。(木村誠、加藤慧)
28日午前6時10分頃、同村内の道志みちで、神奈川県相模原市中央区の高校生(17)が運転する原付きバイクがカーブで転倒、センターラインをはみ出し、対向してきたトラックに衝突した。高校生は病院に搬送されたが、出血性ショックで死亡が確認された。
大月署によると、高校生は山中湖周辺に遊びに来た帰りとみられ、急な左カーブを曲がりきれずに転倒した可能性があるという。
この前日には、ツーリングに訪れていた横浜市旭区の会社員男性(26)がやはり村内の道志みちのカーブで転倒、ガードレールに衝突して手の骨を折る重傷を負った。

相模原市から道志村を通り、山梨県富士吉田市に抜ける国道413号は、富士山や山中湖などを眺めながら走ることができるツーリングの名所として有名だが、一部には「危険な国道」としても知られる。その理由は、特有の急カーブだ。
山梨県警などによると、90度近いものから、中にはUの字を描くような曲がり道が連続するほか、曲がった後の道の先を目視で確認できない「ブラインドコーナー」と呼ばれる場所も多い。
起伏の激しさや、急な坂といった要因も加わることもあり、大月署管内では昨年までの10年間で127件の人身交通事故が発生し、12人が死亡した。週末に二輪車で訪れた県外者の単独事故が多くを占めているという。
大半がカーブを曲がりきれなかったり、スピードを出しすぎたりしたことなどが原因とみられ、国道20号や国道139号といった主要国道に比べても、道志みちの過去10年の死者数は多い傾向にある。

カーブにはドライバーの視線を誘導するためのポールや道路鋲(びょう)を設置する対策を取り、至る所に注意喚起の看板も掲げているが、県外から訪れる人が多いことなどから、「効果的な啓発が難しい」(山梨県警幹部)のが現状だ。

今後も夏休みや秋の行楽シーズンなどで、多くの人が県内外から道志みちでツーリングを楽しむことが予想される。こうした状況を受け、県警は今年度、事故が起きた地点を記載した地図を作成。バイカーらに配布するなどして注意を呼びかけることにしている。
地図には、過去10年間に起きた死亡事故、もしくは重傷、重体事故の現場約50地点を色分けして表示。
特に事故が相次ぐ危険な5地点は、グーグルの地図・画像表示サービス「ストリートビュー」のQRコードを載せ、「カーブ手前でしっかり減速!」といった注意点も添えたという。
地図は村内の道の駅やコンビニ店に掲示し、県内外のバイク販売店などでも配布することにしている。
大月署の内藤公晶交通課長は「地図で危険な場所を知り、速度を守った安全運転を心がけてほしい」と話した。