大阪府は1日、65歳以上の高齢者を対象に、ATMの操作時に携帯電話での通話を禁じることなどを盛り込んだ「大阪府安全なまちづくり条例」の改正条例を施行した。深刻化する詐欺被害を防ぐことが目的で、金融機関などにも防止措置を課すが、違反しても罰則はない。府によると、通話禁止の義務化は全国で初めて。
条例ではほかに、コンビニエンスストアなどの事業者に対し、高齢者にプリペイドカードを販売する際、詐欺被害の恐れがないかを確認することなどを求める。
府はこれまで、条例の対象となるATMを設置する府内の金融機関や、プリペイドカードを販売するコンビニ、商業施設などに条例を周知してきた。10月1日以降は、府内の70歳以上で過去3年間に振り込みをしていない高齢者の口座の振り込み上限額を、1日10万円以内に設定するよう金融機関に義務付ける。
府の担当者は「こうした対策を進めると若者を狙ったり、インターネットバンキングを介したりするなど、詐欺犯の手口は多様化しており、今回の条例改正だけでは被害を防ぐことは難しい。詐欺被害をひとごとではなく自分のこととして捉えながら最新の手口について情報収集を心がけ、家族や周囲に広めてほしい」と呼びかけている。(山本考志)