宮城県立がんセンター(同県名取市)は4日、がん治療薬を誤って通常の5倍の量を処方し、服用した高齢患者が死亡する医療事故が発生したと発表した。患者の遺族とは7月に示談が成立したという。
発表によると、患者は2023年7月27日から血液がんの治療を開始。主治医は1日1カプセル(500ミリ・グラム)を投与するところ、電子カルテに誤って1日5カプセルと記入したため、患者は翌日朝から8月8日までの12日間、5倍の量の薬を服用したという。
患者が同月9日に受診した際、敗血症性ショックが発生していたため、カルテを再度確認した主治医が、薬の大量投与のミスに気づいた。患者は同日から入院したが、血圧の低下による合併症で13日に死亡した。
佐々木治病院長は4日に開いた記者会見で、「被害を受けた患者、遺族に心よりおわび申し上げる」と謝罪し、主治医に厳重注意を行ったと説明した。
今回の薬剤が通常の処方量を超えて処方される場合に電子カルテ上に警告がでない仕組みになっていたほか、薬剤師や薬局側からも問い合わせが行われなかったことが主な原因だったとし、▽処方量を確認する警告機能の強化▽院外処方箋の確認をがん専門薬剤師の担当に移行――などの再発防止策に取り組むとした。