鹿児島の豪雨 バックビルディング型の線状降水帯 過去もこの時期に豪雨被害

鹿児島県では昨夜から今日8日(金)の未明にかけて集中的に雨が降り、霧島市などで大規模な浸水被害に見舞われました。「バックビルディング型」の線状降水帯が形成されたとみられます。
狭い範囲に雨が集中
前線の南側では、空気中に含まれる水蒸気の量を表す指標のひとつである相当温位354K以上の、過去に大雨災害を引き起こした際と同レベルの非常に湿った空気の流入が続きました。
九州の西の海上ではやや北寄りの風と南寄りの風がぶつかることによって雨雲が発達。その雲が上空の風により次々と鹿児島県に流れ込む、「バックビルディング型」の線状降水帯が形成され、典型的な大雨災害のパターンです。
8日(金)8時までの24時間雨量の分布を見ると、霧島市・溝辺(鹿児島空港)や牧之原で500mm以上の記録的雨量になったのに対し、南側の鹿児島市はわずか61.0mm、宮崎県側のえびの市・えびの高原でも半分ほどの265.0mmに留まっています。大量の水蒸気がもたらす豪雨が狭い範囲に集中したことで、大きな災害となりました。
鹿児島では1993年のこの時期に豪雨災害
鹿児島県では過去もこの時期に大きな大雨災害に見舞われています。1993年の「平成5年8月豪雨」です。1993年は記録的な長梅雨で、天気の流れは今年と全く違っていたものの、前線の影響で線状降水帯が形成されて大雨になった点では今回と似た部分があります。
霧島市・溝辺の24時間雨量は1993年8月2日に観測された記録を上回って、過去最大となりました。
鹿児島県内では今夜から明日9日(土)の朝にかけても再び雨の強まるおそれがあります。すでに災害が発生している状況ですので、それほど雨が強まらなくても被害が拡大する懸念があります。引き続き厳重に警戒をしてください。
出典・参考気象衛星画像:NICT 情報通信研究機構