記録的大雨はなぜ起きた?「戻り梅雨と海面温度」専門家が解説

大雨から一転し、復旧作業は厳しい暑さとの戦いになっています。今回の記録的な大雨はなぜ起きたのか?専門家に話を聞きました。
10日の夜から11日にかけて線状降水帯が5回も発生した熊本。気象学に詳しい九州大学大学院の川村隆一教授は大雨の要因についてこのように指摘しています。
■九州大学大学院・川村隆一教授(気象学が専門)
「東西の気圧勾配が強まって多量の水蒸気が九州へ流入してきたということが主な要因と考えています」
一連の大雨の要因として「戻り梅雨」と呼ばれる梅雨末期のような気圧配置を挙げています。これによって、インド洋や南シナ海、大陸からの水蒸気と太平洋高気圧の縁に沿った水蒸気が合流し、大量の水蒸気が供給されたと指摘しています。
さらにもう一つの要因として「海面温度」の上昇で降水量が増えたと分析。8月9日時点で九州近海の海面水温は、ピンク色で染まった29℃以上となっています。
■九州大学大学院・川村隆一教授(気象学が専門)
「梅雨末期の頃に比べて九州近海は海水温が3℃くらい高くなっていますので、その分海面から大気へ熱水蒸気供給が強まりますので、九州近海の海面水温の影響というのは一定程度あったと考えられます」
猛暑などで海面水温は高い状態が続いています。川村教授は、今後、台風が発生した際にも大雨に警戒が必要だと話しています。