石破首相は、アフリカでの地雷対策を支援する枠組みの設立を、20~22日に横浜市で開かれる「第9回アフリカ開発会議」(TICAD9)で表明する方針だ。アフリカでは、地雷や不発弾が復興や開発の妨げになっており、日本の技術を生かして除去を進め、農業の生産性向上などを後押しする狙いがある。
設立するのは「アフリカ地雷対策プラットフォーム」。地雷除去の技術や経験を持つ日本企業や国連地雷対策サービス部(UNMAS)と連携し、除去から地域の復興、被害者支援まで、切れ目なく支えることを目指す。
除去では、政府開発援助(ODA)を通じ、日本企業が開発した地雷探知機や現地の汚染情報を管理するデータベース用の機材などを供与し、効率的な処理を推進する。日本の支援で技術を向上させたカンボジアの政府機関「カンボジア地雷対策センター」と協力し、アフリカ各国で地雷や不発弾対策に取り組む職員を対象に、除去技術に関する研修も実施する。
アフリカの20以上の国では現在も、内戦などの影響で地雷や不発弾による被害が生じており、土地の利用が制約されたり、物流が寸断されたりしている。地域の安定化に貢献するため、除去した後の土地での農業振興もサポートする。地雷の被害者向けに、日本企業の技術を活用した3Dプリンターによる義足の生産能力向上も図る。
日本は今年、対人地雷禁止条約(オタワ条約)の締約国会議で議長を務め、来年はアフリカのザンビアが議長に就く。条約を巡っては、非加盟のロシアがウクライナの占領地に大量の地雷を埋設。これに対し、ウクライナが防衛手段として地雷の必要性を訴え、条約からの脱退を表明するなど欧州で脱退への動きが広がっている。日本政府はアフリカの支援を通じ、国際的な地雷禁止の機運醸成にもつなげたい考えだ。