「世界最悪水準」指摘の風力発電所で再びバードストライク、北海道幌延町の浜里WF

絶滅危惧種とされる猛禽(もうきん)類オジロワシなどの鳥類が施設に衝突する事故(バードストライク=BS)が相次ぎ、専門家から「世界最悪水準」と指摘された北海道幌延(ほろのべ)町の風力発電施設で4日、新たに準絶滅危惧種のハイタカ1羽が衝突死していたことが分かった。
BSが確認されたのは、風力発電の国内最大手ユーラスエナジーホールディングス(HD)のグループ会社が幌延町で運営する風力発電施設「浜里ウインドファーム(WF)」。
今月4日、環境影響評価の事後調査として外部委託した調査会社の職員2人がBSの有無を確認していたところ、風車1基の約8メートル離れた場所で野鳥の死骸を発見した。同社の調査でハイタカであることが分かったという。8日に環境省北海道地方環境事務所と北海道に報告したが、公表はしていない。
浜里WFでは昨年12月から今年3月にかけて、国の天然記念物で環境省が保護増殖事業の対象とする希少種オジロワシ10羽、オオワシ1羽の衝突が確認され、鳥類の専門家から「世界最悪とされていたノルウェーのケースを上回っている」との指摘が出ていた。
同WFではBSが多発したことに伴い、3月25日から7月11日まで14基すべての風車を対象に、日の出1時間前から日没までの運転を一時停止。鳥類を近づけさせない忌避音を出す装置や監視カメラを設置するなどの対策を講じてきた。
現在は複数のBSが確認された1基のみ日中の一時停止を継続しているが、ほかの13基は7月12日から通常運転を再開している。
新たなBSが発生したことについて、ユーラスHD広報は「事態を重く受け止めている。これまでの取り組みの検証作業を継続しており、対策強化も含めて真摯(しんし)に対応していきたい」と説明しているが、報告した環境省や道から「運転停止の指示などはなく、絶滅危惧種ではない」などとして運転見合わせは行わないとしている。
(坂本隆浩)