日本の夏(6~8月)の平均気温が過去最高になることがほぼ確実になっています。これまでの記録だった昨年、一昨年の記録を大幅に更新する見通しです。
ここ2年の記録より0.5℃前後高くなる見通し
都市化の影響が比較的小さい全国15か所の代表地点(※)の観測値による8月の日本の平均気温偏差は、25日(月)までの実況に、31日(日)までのウェザーニューズの予報を加えた推定値で+1.8℃前後になるとみられます。
6月、7月の数字を加え夏の3か月の平均気温を算出した所、基準値よりも2.3℃前後高くなる見込みです。これは2023年と2024年に記録した+1.76℃を大幅に上回る、過去最高です。
▼夏の平均気温平年偏差(高い順)
2025年 +2.3℃前後(推定値)
2024年 +1.76℃
2023年 +1.76℃
2010年 +1.08℃
2022年 +0.91℃
※算出に使用している地点
網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島
7月の海面水温は記録的な高さに
夏の平均気温は地球温暖化とみられる変動により、長期的には100年あたり1.31℃の割合で上昇しています。
ただ、ここ3年の夏の高温は長期的な変動の傾向を大きく上回る高温です。大きく影響している一つの要因として海面水温の高さが挙げられます。
日本周辺の海面水温は全体として平年よりも高い傾向が続いていて、今年は梅雨前線の活動が弱かったことや台風の接近がなかったことで日射量が多く、7月の海面水温は日本海北部や南部、本州東方などで過去最高になりました。
6月以降、日本に暖気が流入しやすい気圧配置続く
地球温暖化による全体的な気温上昇や海面水温の高さなど、猛暑の下地があった所に、今年の天気傾向が暑さに拍車をかけました。
ウェザーニューズ長期予報チームの解析によると、今年は6月上旬の後半からロスビー波と呼ばれる波の伝搬が継続的にみられ、日本付近で高気圧性の循環が強まりました。
上空を吹く強い西寄りの風が北に蛇行するパターンが継続し、暖気の流入が続いたことで6月から7月にかけて梅雨前線の活動が不活発になり、記録的な高温に見舞われました。
8月はこうしたパターンが少し崩れ、前線や熱帯低気圧、台風などによる大雨災害が発生し、6~7月ほどの暑さにはなっていません。それでも8月として上位3番目に入るような高さで、夏の気温は記録的となりました。
1月~8月までの気温は昨年よりまだ低い
今年1月から8月までの平均気温の基準値の差は+1.1℃前後で、年間気温の最高となった2024年の8月時点の+1.51℃よりはまだ低くなっています。
長期予報では9月から10月にかけて全国的に平年よりも高い気温となり、11月になると西日本、東日本を中心に平年に近づく見通しです。今の所、1年間の平均気温は昨年や一昨年には及ばないものの、これまでの3位の2020年よりは高くなるとみられます。
こうした高温傾向がどこまで続くか注目です。