ミャクミャク「高く売れる」、万博会場内ストアでグッズ万引き相次ぐ…フリマアプリで定価の1・5倍も

大阪・関西万博会場のオフィシャルストアで、公式キャラクター「ミャクミャク」関連グッズの万引きが相次いでいる。大阪府警はこれまでに2グループの若者計8人を窃盗容疑で逮捕したが、いずれも売却目的とみられている。人気の高さから、フリーマーケットアプリでグッズの売買が活発に行われている現状が背景にある。(北島美穂、上田裕子)

ぬいぐるみにカチューシャなど、売り場の商品を次々に手提げカバンにすべり込ませる。メンバーの一部は、カバンが盗品でいっぱいになると店舗近くのロッカーへ移し、再び盗みを続ける――。
オフィシャルストアで6月、ミャクミャク関連グッズを盗んだとして、窃盗容疑で逮捕された都内在住の男子大学生ら6人が、府警の調べに供述した手口だ。
6人は鉄道が共通の趣味で、SNSなどを通じて知り合ったという。万博会場で万引きすることを決め、東京駅から新幹線などに無賃乗車して関西へ移動。盗んだ品は100点を超え、被害額は計約50万円に上るとみられる。6人は「ネットで売る目的だった」と容疑を認めている。
7月には、これとは別のグループの16歳の少年2人を、バッグを万引きしたとして窃盗容疑で逮捕した。このグループも売却が目的とみられ、府警は、他に関与が疑われる2人についても捜査している。

事件の背景には、ミャクミャクグッズの人気の高さがある。
日本国際博覧会協会(万博協会)によると、会場内のオフィシャルショップは4月の開幕時には8店舗だったが、多くの来場者が詰めかけ、一部で店外にまで長蛇の列ができる状況をふまえ、19店舗に増やした。
フリマアプリ大手「メルカリ」には、キーケースやぬいぐるみ、ヘアバンドやピンバッジなど様々な商品が、「現地でもすぐ売り切れる入手困難商品」「オフィシャルストアでのみ限定販売」といったうたい文句とともに出品されている。特に人気を集めている通称「黒ミャクミャク」のぬいぐるみは、25日現在、定価の1・5倍に相当する5000円前後で売り出されている。
大学生ら6人のグループの一部が盗んだ品には、会場限定販売の黒ミャクミャクのぬいぐるみや、人気ブランドとミャクミャクのコラボ商品も含まれていた。複数のメンバーが「高額で売れる限定グッズを狙った」と供述しているという。
万博会場での万引きでは、現行犯逮捕でない場合、どの店舗から盗まれた品かの裏付けに地道な捜査を必要とする。店舗数が多い上に、扱われる商品が膨大で、ラインアップも共通しているからだ。ある捜査員は「大規模イベントの特性でもあり、やむを得ない」とし、「防犯カメラを精査するなどし、突き止める」と話す。
府警は被害を未然に防ぐ取り組みにも力を入れており、各店舗の管理者を集めた防犯指導を実施。不審者の挙動の特徴などを伝えている。