埼玉県八潮市で1月に県道が陥没しトラックが転落した事故で、原因調査を進めている県の第三者委員会(委員長=藤野陽三・城西大学長)は4日、硫化水素によって下水道管が腐食したことが陥没の原因とする中間とりまとめを公表した。破損した下水道管の隙間(すきま)に土砂が入り込むことで地中に空洞ができ、陥没に至った可能性が高いとしている。
委員会によると、現場から回収した下水道管は、防水などが目的の内側コンクリートがほぼ欠損し、地中と接する外側コンクリートがむき出しの状態だった。計225ミリの厚さだった管は110ミリまで薄くなり、残った部分も7ミリの深さまで酸化硫黄が浸透していた。現場の下水道には段差があるため、水流がかき混ぜられて硫化水素が発生しやすい状況だったという。
土砂が入り込んだのは、劣化した下水道管の接続部分などの可能性が高く、その後に空洞が少しずつ地面まで達して道路が陥没したか、先に下水道管が崩壊して陥没を引き起こしたとみられるが、どちらかは特定できなかったとしている。
現場の下水道管は直径4・75メートルで、地上から約10メートル下に埋められ、2021年度の県の調査ではすぐに補修が必要な状況ではないと判断されていた。当時の判断の妥当性は最終報告に盛り込まれる方針。
事故は1月28日に発生し、男性トラック運転手(当時74歳)が転落。2次災害発生の恐れなどから捜索活動は難航し、男性の遺体は発生から3カ月あまりたってから地上に搬出された。【鷲頭彰子、増田博樹】