ヨドバシカメラに公取委勧告、PB家電の製造代金など不当に減額…下請け6社に計1349万円支払い

家電のプライベートブランド(PB)製品の製造を委託する下請け業者への納入代金などを不当に引き下げたとして、公正取引委員会は8日、家電量販大手「ヨドバシカメラ」(東京)の下請法違反(減額の禁止)を認定し、再発防止などを求める勧告を行った。
発表によると、ヨドバシカメラは昨年1月~今年3月、自社で販売する家電PB製品の製造を委託する下請け業者に対し、決められた納入代金から不当に減額した代金を支払っていた。また、顧客から依頼された家電の修理を下請け業者に委託した際の費用なども減額していた。同社は、不当に減額していた計1349万円を既に下請け業者6社に支払ったという。
家電業界では、売れ行きに応じたリベート(販売奨励金)などの慣習が残っており、今回の減額も「売上リベート」や「協賛金」など複数の名目で行われていた。現行の下請法は、発注側の企業が下請け業者側と決めた納入代金について、不良品の製造など業者側に原因がある場合を除き、決定後の減額は合意があっても禁じられている。
家電量販大手を巡っては、下請法違反の事案が相次いでいる。公取委は今年2月、「ビックカメラ」がPB製品の製造を委託する約50の業者に対し、リベート名目などで総額計約5億円を減額していたとして勧告を出した。2023年6月には「ノジマ」も同様の事案で勧告を受けた。
PB製品の販売に乗り出した家電量販店の一部では、下請法の認識不足が原因で、違法となる減額を慣習として下請け業者に行っていたとみられ、公取委と中小企業庁が今後、業界全体に対して注意喚起を行う。
ヨドバシカメラは8日、「法令に抵触すると判断された協賛金等の受け取りを廃止した」とした上で、「勧告を真摯(しんし)に受け止め、再発防止の徹底に努める」とのコメントを出した。