10日、午前10時、議長室を訪れ「議会解散」の通知書を提出した田久保市長。その後、市の幹部職員と臨時の政策会議を開き、議会解散の理由などについて説明したということです。会議を終えた幹部職員らは…。
(伊東市 近持 剛史 企画部長)
「先ほど市長からきょうの議会の解散について説明がありました。ある部長からは大変混乱しているので、そういうことも市長に理解していただきたいというような意見もありました」
田久保市長は、10日、報道陣に対し、「市職員との連携は問題なく取れている」と話していましたが…。
(伊東市 近持 剛史 企画部長)
「9月から学校が始まったり災害のシーズンになるので、できれば午前8時半から午後5時は(市役所に)いていただいて、いろいろな対応をしていただきたいと言いましたが、なかなかその時間にはいてくれない状況」
これまでも、市の職員と”発言の食い違い”が目立っていた田久保市長ですが、10日の会見で強調していたのが、不在となっていた「教育長の選任」について。田久保市長は、「議会最終日の人事案提出に向けて選任を進めていた」と説明した上で、市議会が議会初日に不信任決議案を可決したことを批判していましたが、市教育委員会の担当者は…。
(伊東市教育委員会 西川 豪紀 教育部長)
「数名の方に教育長の就任についてお願いに行ったが、このように市政が混乱している中でなかなか受けていただくことはできなかった。現状どなたに教育長に就いていたけるかは全く決まっていない状況」
Q.議会の中で上程して人事案を出すみたいな話は全く進んでいなかった?
「その通りでございます」
教育長の就任について数名に打診したものの断られ、現状は”ほぼ白紙”。市長の説明とは全く異なる状態だと明らかにしました。
伊東市政の混乱が長期化する中「議会解散」を選択した市長に対し、市民はどう感じているのでしょうか?
(伊東市民)
「どう思うって、ばかだよね。なにも議会解散することないのに。自分がやめて、市長選に立候補すればいいことじゃん。(市議選には)田久保さんが何人か出すっていうけど、入れたくない。いろいろな知り合いに訴えて、しっかりとした人に入れろって言うしかない」
(伊東市民)
「それはそれで決めたことだと思うのでしょうがない。伊東市民なんですけど、あきれちゃって物も言えない。それだけです。もうこれ以上何もないです、言いたくても、言っても同じことを繰り返す、一緒だと思いますよ。もう今度は真剣にいろいろ伊東市民として考えた方がいいと思う」
(伊東市民)
「また金の無駄使いしているなって、気がしますね。ばかばかしい。もっと困っている人いっぱいいるのに」
Q.大儀はある?
「ないっすよ。一回やめるって言ったんだから、政治家らしく一回やめればいいですよね。それでやればいいじゃないですか。本当に誰のことも考えていないじゃないかなって」
一方で、10日の解散によって突如として市議会議員という“職”を失った当事者は。
(前市議 大川 勝弘氏)
「きょうは解散が決まりましたので、少し早めに。できれば今週来週中には活動が本格的に始まると思いますので、なるべく早くと」
Q.当初200枚でしたが、800枚に?
「800枚で」
前市議となった大川勝弘氏。選挙戦で使うポスターの内容を精査するなど、発注作業に追われていました。
(前市議 大川 勝弘氏)
「テイストは同じ形でいきたいんですけど、まあ、年齢変わったり、今回のキャッチフレーズというか、笑顔あふれる正常な市政を取り戻したいというような思いの文章だけ、かえさせていただきたいと思います」
今回の田久保市長の選択は予想通りだったといいますが…それでも。
(前市議 大川 勝弘氏)
「正直怒りですよね。急にくると、負担も大きいですし、例えばウグイス嬢や運転手をお願いするにもなかなか人も集まらないし、負担ですね。大義は全くないと思います、もともとね。大義があると思ってるような市長であれば解散はないと思いますんで、そこらへんはもうわれわれが分からせるしかないんじゃないかなと最終的に思います」
田久保市長の学歴詐称疑惑が発展して11日から40日以内に行われることになった市議会議員選挙。11日に開かれる予定の選挙管理委員会で、日程が正式に決まる見込みです。
(スタジオ解説)
(徳増 ないる キャスター)
今後について見ていきます。
田久保市長は不信任決議を受けて、10日、「議会の解散」という決断を下しました。これによって、40日以内に市議選が行われることになります。その後の議会で、再び市長への「不信任決議案」が出された場合ですが、議案が「否決」される、もしくは、議決に必要な「全議員の3分の2以上」が出席しない場合、つまり7人が欠席した場合ですが、議案が不成立となって、田久保市長は「続投」することになります。一方、議員の3分の2以上が出席し、過半数の賛成があれば、「不信任決議案」は可決し、議長から通知があった日に田久保市長は失職します。
市長の失職後、50日以内に再び市長選が行われることになりますが、選挙には田久保市長も再び出馬することは可能です。
そして、費用面を見ていきますけれども。市議選の費用は約4500万円、市長選の費用は約3000万円ですので、両方が行われることになれば、約7500万円の費用がかかることになります。
(津川 祥吾 アンカー)
選挙にお金がかかるというのはこれはある意味や得ないことだとは思います。選挙はとても大事なことですから、お金がかかるからやら、やるべきではないという風には言いたくないんですが、ただ、若狭さん、先ほどお話がありましたように、いわゆる大義がない選挙になると、無駄なお金を市に使わせていることになるのではないか…、背任にすらなるのではないかということですが、若狭さんどのように感じますか?
(コメンテーター 若狭 勝 弁護士)
まさしく…ですから、少なくとも自分が辞めて、3000万円で済む。最低ね。それを4500万円と…市議選にかかるわけですから、これは、税金…に対して、市のお金を…要するに損失を与えたということになるので…、背任罪にもなり得る可能性があると思うんですね。
(徳増 ないる キャスター)
では、今後、行われる市議選の注目点を見ていきます。
解散しましたが、きょう10日までの市議会の構成がこのようになっていまして…。
5つの会派と、会派に属さない無所属の議員が3人、合わせて19人、空席が1人で定数は20となっています。そして、9月1日、全会一致で不信任決議案が可決されました。そして、2度目の不信任決議案が出された場合でも、議決には議員の2/3以上の出席が必要ですので、もし、田久保市長の続投を支持する新たな議員が7人選出されて欠席をすれば、このように不成立となります。そうすると、田久保市長の続頭の可能性が出てきます。
そして、卓保市長は市議選について、報道陣の取材に対し、このようにコメントしています。「『われこそ新しい伊東の未来を作るんだ』という新しい人材。次の世を担うべき人たちが強い意思で議論し、この町の長きにわる積年の大きな問題に果敢に挑むことを期待している」などとコメントしています。
では、市議会議員選挙に向けての動きについて、現場から伊藤キャスターに伝えてもらいます。伊藤さん。
(伊東市から中継・伊藤 薫平 キャスター)
はい。きょうの囲み取材の中で田久保市長は、この市議会議員選挙についても触れていました。スタジオでもありましたけれども、やはり、この「新しい」というコメントをかなり多く発した印象です。「新しい伊東の未来を作る新しい人材」、この出現に期待をするようなコメントが多かった印象です。その中で、VTRの中にもありましたが、「田久保党」「田久保派」仲間がいるのですか?という質問に対しましては…、田久保市長は、こちら、「市議選に仲間が出馬する」というような明言はなかったのですけれども…、私たち、連日のようにこの伊東市で取材をさせてもらっていまして、少なくとも、田久保市長の仲間として出馬が見込まれる人というのが4人いるというのが取材で分かってきています。すでに百条委員会を傍聴されたりですとか、県内の関係団体に出馬に向けた挨拶をしようとしている動きなども出ています。ですので、次の市議選、田久保派か現有勢力か…こういった構図になるかもしれません。中継でした。
(スタジオ解説)
(徳増 ないる キャスター)
はい。では中継受けまして津川さん、今の現状どう見ますか?
(津川 祥吾 アンカー)
選挙の時、争点が何かというのが明確じゃないと選ぶ側はとても難しいところがあると思うんですね。市長がおっしゃっている…「われこそが新しい伊東市の未来を作るんだ」という人は、仮に当選されても、田久保市長の不信任に賛成するかもしれないので…若狭さん、これどうやって選べばいいんですかね?
(コメンテーター 若狭 勝 弁護士)
少なくとも、やはり、まずは素朴に何が今必要なのか、何が問題なのかというのを見極めて、本当に政治家というのは、ここできちんとした対応をしないと、もう政治に対する信頼というのが根底から崩れてしまう。それは、だから、この伊東市だけの問題じゃないんですよね。全国民がやはり関心を持って、伊東市は、そこに焦点が当てられているというぐらいのつもりで…やはり選挙を迎えるべきだと思います。
(徳増 ないる キャスター)
では、今後のスケジュールはどうなっていきそうなのか。元県職員で地方自治に詳しい静岡産業大学の小泉祐一郎教授に聞きました。こちらです。
市議選の投開票日は、10月の19日が有力ではないかと話していました。10月の19日です。そして市議選が終わりますと、2~3週間後の11月の上旬あたりに議長・副議長を決める臨時議会が開かれます。そこで、再び「不信任決議案」が出され、市長が「失職」ということになれば、50日以内に今度は市長選が行われるということになります。50日以内となると、12月の28日で年末になってしまいますので、12月の21日あたりに選挙が行われるのではないかということです。
一方、一方、臨時議会は選挙後の2週間から3週間に、市長が召集して行われるのが一般的なのですが、何らかの理由で開かれない場合、市長選が年明けまでずれ込む可能性もあるということです。津川さん。
(津川 祥吾 アンカー)
これだけ時間がかかってしまうということ。ルールと言えばルールですが、これを一言でですね…民主政治のコストだと言ってしまうにはちょっとあまりにも大きい重いものになるかなと思います。この間、当然、伊東市政はですね、停滞が、どうしても続いてしまう部分があるかと思います。ただ、その中でですね、若狭さん、先ほども触れていただきましたが、やはり市民がですね、議会あるいは市長だけではなくて、市民のみなさんが、しっかりと伊東市の将来について、改めての議論も含めてですね、考えた上で、選挙にしっかりと臨まなければならないということになりそうですかね。
(コメンテーター 若狭 勝 弁護士)
そうですね。やはり権利の濫用は許さないというのが、1つの法治国家のもとではいわれていることなんですよね。ただ、今回、田久保市長がやっていることというのは、一応、法律的には…議会解散というのは可能なんですけれど…それは権利の濫用じゃないのと…自らのポストを守るための、自分の主張を貫きたいがための自己保身的なもので、あくまでそれは権利の濫用じゃないの…という視点…これが問われるんじゃないかと思いますね。