名古屋・栄地区の飲食店で、当初の説明と異なる高額な料金を請求されるといった「ぼったくり被害」の相談件数が8月末時点で180件となり、年間の最多を更新したことが愛知県警への取材でわかった。被害者の9割が客引き経由の来店だったため、県警は9月から客引き行為への取り締まりを強化している。
県警によると、現在の手法で統計を取り始めた2017年の相談件数は51件で、18年は6件、19年は1件と減少傾向にあったが、コロナ禍後の23年は127件、24年は147件と急増。今年は8月末時点で180件となった。客が請求された額は、23年が計6617万円で、24年が計9042万円、今年は8月末時点で計1億2099万円だった。
県警は、複数店の客引きを請け負うグループが組織を拡大していることが増加の一因とみている。30歳代の客引きの男性は、「店に客1人を連れていくと3000円のバック(紹介料)がもらえ、かなり稼げる。警察がいない時を見計らってやっている」と明かす。
被害者の4割は観光や出張などで訪れた県外客だった。来年秋のアジア・アジアパラ競技大会の期間中は多くの県外客が訪れることが予想され、県警保安課の青山征司次長は「客引きの取り締まりとともに、栄を訪れた人に客引きを利用しないよう一層強く呼びかけていく」と話した。