交番襲撃、遺族の賠償請求棄却=県警対応「違法性認められず」―富山地裁

富山市の交番で2018年、警察官が刺殺され、奪われた拳銃で小学校の警備員中村信一さん=当時(68)=が射殺された事件で、富山県警の初動対応が不十分だったとして、中村さんの妻が県に約2600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、富山地裁であった。矢口俊哉裁判長は「(県警の対応に)違法性があるとは認められない」として、請求を棄却した。
矢口裁判長は、警察官が襲撃された際、交番にいた相談員が「刃物を持った男が暴れている」と110番したものの、その後連絡が取れなくなったと指摘。この時点で犯人が警察官から拳銃を奪ったとは判明しておらず、周辺住民に危険が切迫しているとまで県警は認識できなかったとした。
捜査員が交番に到着して拳銃が奪取されたことを認識してから、中村さんが殺害されるまでの時間も最長で4分程度にとどまり、この間に周辺に警告を出したとしても、事件を回避できたとは認められず、県警の対応に違法性はないと結論付けた。 [時事通信社]